森ビル株式会社

篠山紀信さんが考える面白い都市と美人の基準(第1回)

2009年08月01日

今月のゲスト:写真家 篠山紀信さん

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篠山紀信さん自身が選んだ、現代を象徴する注目の美人6人を写真に収めた展覧会『KISHIN : BIJIN』が表参道ヒルズで開催される。これまで美しい女性や変わりゆく都市の風景をファインダーを通して見つめ続けてきた篠山さんが、自身が考える美人の基準や東京の面白さを語ってくれた。常にアンテナを張り、新しいことに挑戦しようとするその姿勢が、長く時代の第一線で活躍する秘訣なのかもしれない。

第1回 篠山紀信さんにとっての美人の基準とは…『KISHIN : BIJIN』8月7日〜16日まで開催

僕の展覧会の『KISHIN : BIJIN(キシン:ビジン)』という展覧会を開催することになりました。“紀信”と“美人”って、何となく語呂が合うでしょう(笑)。
コンセプトとしては、きれいな人って世の中にはたくさんいて、僕は毎日きれいな人を撮っているんですけれど、そのなかでもこれからグッといくかなとか、ちょっと世の中にとんがって発言しているなとか、生き方自身が何か格好いいなというような人を、僕自身が6人選んで撮影しました。
女優だと黒木メイサさんで、芥川賞作家の川上未映子さん、宝塚を辞めたばかりの安蘭けいさん、歌舞伎界からは中村七之助さん、キャスターで日本テレビの西尾由佳里さん、それから、ヌードで原沙央莉さん。この6人の人たちなんですけれど、今の時代に格好よく生きているなという感じ。しかも僕の尺度の中で美人という、そういう人たちを選びました。

篠山紀信さんが選んだ6人の美人たち

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「KISHIN : BIJIN」(黒木メイサさん)

まず黒木メイサさんは、動きがすごくいいんですね。非常にアグレッシブで、前に向かって突き進んでいくというパワーというのをすごく感じるので「これからすごく大きくなるんじゃないかな」と思っているんですよ。
川上未映子さんとは芥川賞を発表する前に会って意気投合して、なかなか面白い人で、彼女はすごくフォトジェニック。
宝塚を卒業したばかりの元男役の安蘭けいさんは、「宝塚の男役ではないけれども、全くの女性でもない」みたいな、その何とも不思議な時間を撮る、ここがすごく面白かったですね。
歌舞伎の中村七之助さんは、数々いる女形のなかでも若くて、緊張感があってストイックな中でのエロチズムみたいなものを僕は感じています。
で、キャスターの西尾由佳里さん。朝の番組で「すがすがしい」とか「清潔感がある」というようなコンセプトでやっているから、「夜だったら、こういう感じかな」というのをイメージして、エレガントで知的で上品な美しい写真が撮れました。
それから、あとは原沙央莉さんは、すごくエキゾチックで、何か人間というよりもどこかの星から来たレプリカントという感じ。ただ生々しい感じのヌードじゃなくて、とても絵画的な作品になりましたね。

プロフール

写真家/1940年、東京都生まれ。日本大学芸術学部写真学科卒業。在学中より新進写真家として頭角を現し、第1回APA賞等、数々の賞を受賞。広告制作会社「ライトパブリシティ」を経て、1968年よりフリー。
近年はデジタルカメラによる写真と映像の表現「digi+KISHIN」を、ウェブサイト「shinoyama.net」上やDVDで発表。作品集に『NUDE』『激写シリーズ』他。近年の写真集に『Santa Fe/宮沢りえ』『三島由紀夫の家』『人間関係』等。