森ビル株式会社

変わりゆく東京を、被写体として見つめ続けて(第3回)

2009年07月17日

今月のゲスト:写真家 ホンマタカシさん

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写真家のホンマタカシさんの作品には、東京に関するものも数多く、なかでも六本木やお台場など、変わりつつある都市の風景を好んで被写体に選んでいるとい う。最近では写真教育に興味を持ち、『たのしい写真 よい子のための写真教室』という本も出版。国内外で活躍する彼は、被写体として、作品を発表する場と して、また写真教育を行う地として、東京をどう見ているのか。

第3回 これからは写真教育をしていきたい

写真を撮る方法は教えない、写真の授業写真教育に対して興味があるので、実際にどこかで教えて、現実に実践したいですね。写真教育というと写真を撮る方法を教えるように聞こえるかもしれないのですが、例えば一般大学の1、2年生の教養の授業の、「メディアリテラシー」みたいな感じの課目の中で、写真の読み方、撮り方みたいなのを教えるというのをやりたいんですよね。それと、例えば専門的に写真とか美術学校で3、4年生のゼミの人と一緒にプロジェクトをやりたいんですね。
この本の中でも「フォトグラフィックサーベイ」という言い方をしているのですけれど、あるテーマを決めて3、4人とかでチームを組んで写真作品を作る、みたいなことを実践したいのですね。ただ、一方的に僕が教えるんじゃなくて、僕もそのプロジェクトの中に入って一緒に作品を作りたいんです。

学生とやってみたいプロジェクトとは

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HILLS CAST収録風景

個人でやるのには限りがあるから、2人以上だとか、複数でやる可能性というのは、写真に限らずあると思いますね。もっと言って、写真だけじゃなくて本づくりということで考えると、複数でやるというのは全然ありですね。
今思いついたんですけれど、例えば東京の坂道ばっかりを調査するみたいな企画を立てたとする。そして3、4人の学生と僕とで、東京中の坂道を撮ったり、その坂道の由来を調べたりして本をつくるというのは、全然ありだと思うのです。そういうことをやりたいですね。
僕の中で、絶えず企画がすごくいっぱいあるから、それを1人で個人でやりきれないということも多少ありますね。しかも、必ずしも全部自分1人でやる必要はないなと。何かいい企画が思いついて、それを人とやるというのは、結構好きなんですよ。

プロフール

1962年東京生まれ。ライト・パブリシティに在籍後、独立。1991年よりロンドンに渡り、ファッション・カルチャー誌『i-D』で活動する。1999年『東京郊外』(写真集、展覧会)で第24回木村伊兵衛写真賞受賞。
主な作品集に『Tokyo and my daughter』(スイス:Nieves)、『きわめてよいふうけい』『東京の子供』『Babyland』(リトルモア)、『Hyper Ballad:Icelandic Suburban Landscapes』(スイッチパブリッシング)、『NEW WAVES』(パルコ)、『TOKYO』(米:Aperture)、『trails』(マッチアンドカンパニー)ほか。