森ビル株式会社

時代を変える、元気にする、言葉の力(第5回)

2009年05月29日

今月のゲスト:コピーライター・クリエイティブディレクター 前田知巳さん

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今、言葉の力が見直されている。そのことにいち早く気付き、企業や街をブランディングし続けてきたのが、コピーライターの前田知巳さんだ。彼は、言葉を作 るとき意識的に、それを受け取る人間の立場になって考えることが、その言葉に力を与えているのだと話した。時代を変える言葉の力、それは、作りだされるま での過程に込められた思いやりが一番の理由なのかもしれない。

第5回 コピーライターだからこそわかる“言葉の力”

コピーライターという職業も、最近仕事が変わってきています。コピーって本来、広告媒体の上での言葉っていうことじゃないですか。ところが今は、広告媒体を使わずに、もっとその手前の段階で、「どういうふうな言葉があれば、そこに人が魅力を感じたり、人が元気になれるか」とか「求心力ができるか」という相談がすごく増えていますね。そういう時代になってるんですね。
「やっぱり言葉、大事だよね」というか、言葉次第で結果が変わっていくというか。例えばアメリカのオバマ大統領は、すごく言葉の人ですよね。すごく「人はどういう言葉があるとどういうふうに思うか」ということを、みんなが気にし始めているのではないでしょうか。
「言葉が変わることで、何がどれだけ生まれるか」ということって、勘のいい企業は気づいているんですけれど、まだまだ、全然広まっていないというか、いまだにいろんなことが言葉足らずだと思うんですよ。わかりやすい例が政治ですよね。日本の政治って言葉が足りなすぎる。だから、別に政治がやりたいということではなくて、そういうふうな言葉の成功例を増やしていくことで、「あっ、言葉を変えることが、すごく何かを動かすことなんだ」ということに、もっともっと気づいてほしいですね。そのために、結果を出していかなければいけないということを思っています。
その結果を見てもらうことで、「いい言葉っていい結果を生むんだ」という意識を、もっといろんな企業とかにもってほしい。まさに、そういう意識を広げていくのが、今僕が持っているミッションかなというふうに思っています。

プロフール

コピーライター、クリエイティブディレクター/1965年生まれ。博報堂を経て1999年からフリーランス。森ビルの企業広告「空に希望を。地上に緑を。地下に喜びを。」を手掛ける。他、「おじいちゃんにも、セックスを。」など宝島社の一連の企業広告、ユニクロのトータルでのブランドコンセプトワーク、シャープ「太陽光発電プロジェクト」、キリンビール「親、子。人はつづく。」キャンペーンなどを担当している。