森ビル株式会社

時代を変える、元気にする、言葉の力(第4回)

2009年05月22日

今月のゲスト:コピーライター・クリエイティブディレクター 前田知巳さん

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今、言葉の力が見直されている。そのことにいち早く気付き、企業や街をブランディングし続けてきたのが、コピーライターの前田知巳さんだ。彼は、言葉を作 るとき意識的に、それを受け取る人間の立場になって考えることが、その言葉に力を与えているのだと話した。時代を変える言葉の力、それは、作りだされるま での過程に込められた思いやりが一番の理由なのかもしれない。

第4回 前田知巳が考える今の時代に必要な要素

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HILLS CAST収録風景

今感じているのは、元気な企業って共通点があるということですね。それは、やりたいことがあって、それをやりたくてたまらなくてやっているという情熱と、今までだれもやっていなかったことをやろうという挑戦があるということ。
今までだれもやっていなかったことってどういうことかというと、まずそれを表現する言葉がないんですよ。だって今までなかったことだから。だから、それが発生するところには、やはり言葉が必要で、そういうときに僕を呼んでもらうということですね。
「今までやったことのないことをやろう」という企業が増えていくと、ある意味僕の仕事も増える。それは「変えていこう」とか「新しくしていこう」という力なので、世の中的にはいいことなんですよ。というか、変えざるを得ない時代ですし。しかもそこでカギとなるのは、結局、システムというよりも個人かなという気がしています。システムをもう1回つくり直しているのは意外と個人であるということも含めて、個人の「やりたいこと」とか、「こういうことをしたら、絶対世の中よくなるんだ」という信念、「やり抜くんだ」という熱意だとか。そういう個人のいる会社は、やっぱり元気だと思いますね。それは、今だからなおさら試されていることで、だれかに寄りかかるんじゃなくて、自分の意思とか信念や情熱がないと山を登れないし、まず登りたい山を見つけられないということだと思うのですね。
そういう時代なので、これからコピーライターという職業に関して言えば、「広告表現が好き」というだけでは務まらないような気がしています。
それはどういうことかというと、企業が成長することが本当にうれしいって思うだとか、やはり企業に興味がないと、その企業のベクトルが見えてこないと思うんですよね。人間個人の関係でも、好きな人じゃないとその人の気持ちを読もうとしなかったりする。だからやっぱり、そういう興味の対象が広くないと、「広告が好き」というだけではできないなという気がします。

プロフール

コピーライター、クリエイティブディレクター/1965年生まれ。博報堂を経て1999年からフリーランス。森ビルの企業広告「空に希望を。地上に緑を。地下に喜びを。」を手掛ける。他、「おじいちゃんにも、セックスを。」など宝島社の一連の企業広告、ユニクロのトータルでのブランドコンセプトワーク、シャープ「太陽光発電プロジェクト」、キリンビール「親、子。人はつづく。」キャンペーンなどを担当している。