森ビル株式会社

時代を変える、元気にする、言葉の力(第3回)

2009年05月15日

今月のゲスト:コピーライター・クリエイティブディレクター 前田知巳さん

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今、言葉の力が見直されている。そのことにいち早く気付き、企業や街をブランディングし続けてきたのが、コピーライターの前田知巳さんだ。彼は、言葉を作 るとき意識的に、それを受け取る人間の立場になって考えることが、その言葉に力を与えているのだと話した。時代を変える言葉の力、それは、作りだされるま での過程に込められた思いやりが一番の理由なのかもしれない。

第3回 今の日本、そしてこれからの日本は

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HILLS CAST収録風景

東京は、多分僕らが思う以上に、外から見ると面白いところだと思われていると思いますよ。それと、東京に来られて、ちょっと住まれた外国人の方は、「東京に住んじゃうと、他の都市はもう不便で住めない」と言っている。それぐらい機能的で、正確な場所なんじゃないですかね。
ミシュランが東京版を作るまで、東京ってこんなにおいしい街だったんだって、東京の人って意外に気づかなかったんじゃないですか。それは「食」っていうこともそうだけれど、実は食以外のいろいろなことが、外から見ると、そういうふうに見られているということはあると思います。
これはちょっと抽象的な話になりますが、みんなが、東京のよさにもっと自覚的になるといいのになと思いますね。自覚していないと思うんですよ、いいことも悪いことも。
だから「こういうところが東京っていいよね」って自覚すると、そこをもっとよくしようとしたりとか、そこを守ろうとしたりとか。
例えば京都って、京都のよさを自覚しているところがあるじゃないですか。だから「景観はこうあるべきだ」とか、そういうふうになってきますよね。「これは守るべきだし、ここまでだったら変えていい」みたいな。東京って意外とそういう自覚をしていなくて。それはだれかが、というかみんなが自覚しなければいけないんですけれども。そうなっていくと、守るところは守っていって、変えるところは変えていくということが、文化的にやっていけると思うんですよね。

今の日本って、行くところまで行っているというか、「こんなに便利な世の中ってない」というところまで行っているじゃないですか。だからもう、なかなか「やりたいこと」ってみつからないんですよね、特に若い人とか。「やりたいことがある」という時点で、もうそれがすごいことっていうか。だから森さんみたいに、やりたいこと満々の人の話を聞いていると、やっぱりすごく元気になりますよね。

プロフール

コピーライター、クリエイティブディレクター/1965年生まれ。博報堂を経て1999年からフリーランス。森ビルの企業広告「空に希望を。地上に緑を。地下に喜びを。」を手掛ける。他、「おじいちゃんにも、セックスを。」など宝島社の一連の企業広告、ユニクロのトータルでのブランドコンセプトワーク、シャープ「太陽光発電プロジェクト」、キリンビール「親、子。人はつづく。」キャンペーンなどを担当している。