森ビル株式会社

時代を変える、元気にする、言葉の力(第2回)

2009年05月08日

今月のゲスト:コピーライター・クリエイティブディレクター 前田知巳さん

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今、言葉の力が見直されている。そのことにいち早く気付き、企業や街をブランディングし続けてきたのが、コピーライターの前田知巳さんだ。彼は、言葉を作るとき意識的に、それを受け取る人間の立場になって考えることが、その言葉に力を与えているのだと話した。時代を変える言葉の力、それは、作りだされるまでの過程に込められた思いやりが一番の理由なのかもしれない。

第2回 前田知巳さんが形にした、森ビルのコンセプト「ヴァーティカルガーデンシティ」

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上)2009年 森ビル企業広告
下)2007年 森ビル企業広告
CREATIVE DIRECTION/COPYWRITE:前田知巳

もともと、森ビル自体の一番のコンセプトが「ヴァーティカルガーデンシティ」という、「街は立体であるべきだ」という考え方なんですよね。立体になればなるほど、効率もよくなるし、要するに地上が緑で覆われるという。
事実、例えば夏とか森ビルが建てたビルの観測をすると、そのビル周辺の温度って低いんですよ。それは何でかというと、垂直にした分、緑が増えているからなんですよね。あと、職場と住むところが近いということは、それだけ移動とかのコストがかからない。それでCO2も減るということがありますよね。

今、森さんが考えているのはそれの延長で、もっと垂直にしようと、「今、空に伸びているんだけれど、地下にも伸びていいんじゃない?」ということですね。それを絵にしたということになります。

なんで僕みたいな、コピーライターという仕事が成立しているかというと、やっぱり言葉ってすごく厄介で、人って意外と、頭の中とか気持ちの中にあるもやもやしたものを言葉にするのが難しい。自分では伝えたつもりでも、それが実は伝わっていなかったりということがあるじゃないですか。
だから、僕らは、そこにないものをどこかから無理やりもってくるのではなくて、やはりその人の中にもともとあるものを、「こういうことですよね?」というふうに、言葉化してあげるという仕事なんです。そういう意味では、依頼主が考えていることを引き出してあげることでもあり、それを構築するということでもある。どういうふうに言ったら一番簡単にわかりやすく正確に、しかもそれがすてきな言葉として届けられるかということですね。

プロフール

コピーライター、クリエイティブディレクター/1965年生まれ。博報堂を経て1999年からフリーランス。森ビルの企業広告「空に希望を。地上に緑を。地下に喜びを。」を手掛ける。他、「おじいちゃんにも、セックスを。」など宝島社の一連の企業広告、ユニクロのトータルでのブランドコンセプトワーク、シャープ「太陽光発電プロジェクト」、キリンビール「親、子。人はつづく。」キャンペーンなどを担当している。