森ビル株式会社

時代を変える、元気にする、言葉の力(第1回)

2009年05月01日

今月のゲスト:コピーライター・クリエイティブディレクター 前田知巳さん

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今、言葉の力が見直されている。そのことにいち早く気付き、企業や街をブランディングし続けてきたのが、コピーライターの前田知巳さんだ。彼は、言葉を作 るとき意識的に、それを受け取る人間の立場になって考えることが、その言葉に力を与えているのだと話した。時代を変える言葉の力、それは、作りだされるまでの過程に込められた思いやりが一番の理由なのかもしれない。

第1回 森ビル企業広告「空に希望を。地上に緑を。地下に喜びを。」が生まれるまで

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森ビル企業広告
「空に希望を。地上に緑を。地下に喜びを。」

僕がやった仕事は、新聞を使った企業広告だったんですけれど、それはもう最初からすごくどっぷりという感じで、1年以上かかりました。
「結果、1年かかった」ということなんですよ。最初はもっと早く出すはずだったんですけれど、1年かかったということは、それだけ大変だったということなんです。

まず森さん(森 稔/森ビル代表取締役社長)の頭の中をどう紙の上に再現するかという、投影する仕事でしたね。森さんの頭の中って見えないわけじゃないですか。当然森さんには見えているんだけれど、それを僕らが投影していくという仕事なので、ものすごく感覚的なんですよね。
正解がないので、絵を見せると森さんからまた違う発想が出てくるんですよ。だから、それこそ本当に絵を描くのと一緒ですね。
絵って、「ここまでいったら完成」というのがないじゃないですか、だからそれと一緒で、どんどんどんどん時間が引き伸ばし、引き伸ばしになっていったんですよ。だからイラストレーターの土谷尚武さんはもう大変だったと思いますね(笑)
今回はもちろんコピーとして言葉も乗せているのですけれど、さっきの「投影する」という話で、絵にどうしていくかという仕事だったという印象ですね。すごく大事だったのは、絵って本当に感覚なんで、どういうイラストレーターにそれをビジョン化してもらうかというのが、一番決定的な作業だったと思います。
なので、アートディレクターの副田高行さんと組んで、何人かイラストレーターをピックアップして、その作品を森さんに見てもらって、「どうですか?」と聞く作業ですね。もう、言葉ではなくて感覚なので。

プロフール

コピーライター、クリエイティブディレクター/1965年生まれ。博報堂を経て1999年からフリーランス。森ビルの企業広告「空に希望を。地上に緑を。地下に喜びを。」を手掛ける。他、「おじいちゃんにも、セックスを。」など宝島社の一連の企業広告、ユニクロのトータルでのブランドコンセプトワーク、シャープ「太陽光発電プロジェクト」、キリンビール「親、子。人はつづく。」キャンペーンなどを担当している。