HILLS CAST
“東京をおもしろくするアイデア”を持ったゲストをお迎えしてお届けする「HILLS CAST」は、J-WAVEのラジオ番組「森ビル presents 東京コンシェルジュ」内で放送していた森ビルのラジオCMです。
※掲載内容は、取材・放送時点のものです。
村上隆が東京の中と外から見た世界(第4回)
2009年04月24日
今月のゲスト:アーティスト 村上 隆さん

今までの活動の集大成とも言える展覧会『© MURAKAMI』が約2年間をかけて世界3カ国4箇所を巡回した、日本を代表する現代アーティスト村上隆さん。アートを通して、世界を知る村上隆さんの話は、『© MURAKAMI』で見た世界の“オタク”観や、東京という都市の持つパワーについて、そして、現代芸術のアイコン アンディ・ウォーホルにまで至った。そのどの話題においても、自称“成り上がり”の彼の、冷静で鋭い視線と、そこに秘められた熱い思いが滲んでいた。
第4回 アートのマーケットの中から見えること

Acrylic and gold leaf on canvas
1600 x 1511 mm
Courtesy Blum & Poe, Los Angeles
© 2008 Takashi Murakami/Kaikai Kiki Co., Ltd. All Rights Reserved.
僕がデビューした当時というのは、ハングリー精神で「作品が売れないと次の作品がつくれない」というところから来て、声高に「作品の販売」というものに争点を置いて活動してきたので、いまだに販売される、されないというのに集中しがちなことはよくわかる。
ですが僕らのエリアというのは、ゴルファーでいえば、マスターズには必ず出て、その中で優勝戦線に絡んでどれだけすばらしいプレーをするかというのが争点なわけですから。「販売する」というのは、極めて低いレベルの話。売れるのは、そんなに大きい事件ではないんです。ただ、マーケットそのものがクラッシュしているときは、みんなにとって平等な世界の中で、やはり売れるものは売れるでしょうし、売れなくなるものもあるでしょう。
僕もそういう憂き目にあうことは可能性としてありますが、プレイヤーとして、やはりそういうマスターズクラスのところでスーパープレーをするということに集中し続けていますので。必ず優勝戦線には絡められるというプレーをさせてもらっているつもりです。
六本木ヒルズ ロクロク星人誕生にあたって

Planet 66, 2004
© 2004 Takashi Murakami / Kaikai Kiki Co., Ltd. All Rights Reserved.
六本木ヒルズのキャラクター「ロクロク星人」プロジェクトを始めたときには、まず森稔さんご本人にお会いするところから始めさせていただきました。
六本木ヒルズのプロジェクトにかかわらせていただいたことは大変光栄であり、いまだに僕の中でも成長し続けているプロジェクトです。というのも、森稔さんというご本人の持っているキャラクターが、ほとんどアーティストに近い。ハッと不安になるのが、こんなアーティストの僕と話が通じるのだったら、会社を経営していて、ついていく人は、多分とんでもなく大変だろうなと。
僕も会社の代表取締役として、「森稔さんが、あれだけやっているんだから、僕も何とかやれるように、何とかオーガナイズしてください」と、いつもうちの社員にオーガナイズするぐらい、森稔さんはほぼアーティストの人なので、今後も森稔さんと何か一緒にやっていきたいなと思っています。
プロフール
1962年東京生まれ。アニメや漫画など日本文化をベースにした作品を手掛け、世界でその動向が最も注目されるトップアーティストの一人である。東京芸術大学で日本画科博士号を取得。アーティスト集団Kaikai Kikiの代表。チアマンを務めるアートフェアGEISAIは2009年3月8日で通算15回目を迎えた。現在、海外と日本を往復し、若手アーティストのプロデュース、展覧会のキュレーションを積極的に行っている。