森ビル株式会社

「島耕作」と、都市を見つめる(第4回)

2008年11月21日

今月のゲスト:漫画家 弘兼憲史さん

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会社員から漫画化への転身。代表作「島耕作」シリーズには、自身のサラリーマン生活をもとに、主人公がキャリアアップしていく様子がリアルに描かれている。島耕作は、サラリーマンたちが憧れる有望なビジネスマンであることは言うまでもない。
これまで作品の中で多くの都市を描き続けてきた弘兼憲史さんが、東京を見つめ、感じることを語りだす。

第4回 「島耕作」に登場する森ビルの建物・・・?

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島耕作の後ろに愛宕グリーンヒルズ
© 弘兼憲史/講談社

偶然ですが、実は島耕作のストーリーの中で、何回か森ビルの建物が登場しています。
今回、『初芝五洋ホールディングス』という会社を立ち上げたのですが、構想段階で、どこのビルにしようかなと思って、とりあえず現実にあるビルを1つお借りしようかなと考えて、思いついたのが「愛宕グリーンヒルズ」なんですね。
僕の大学時代の後輩に光井純君という建築家がおりまして、「愛宕グリーンヒルズ」は、彼が設計をしたビル(※1)なので、光井君に電話で「ちょっと借りるからな」と言って描いたのですがそれが偶然、森ビルのビルでした。
それ以前にも、六本木ヒルズのスカイデッキをヘリポートとして利用して、島耕作が大町久美子という登場人物とデートをするシーンがあったのですが、それを見た森ビルの方からお手紙をいただきました。「将来的には、スカイデッキを色々な用途で活用できるようにしたいと模索している矢先に、『島耕作』が漫画のなかで既に使っていました」ということで、その方と会ってお話をしているうちに、僕はいろいろなところで森ビルのビルを勝手に借用していたというのがわかりました。
一番面白かったのは、上海の『上海初芝電産』が入っているビルがあるのですが、それも浦東にある森ビルの「HSBCタワー」でした。これは上海に行き、何棟かのビルを見て回って「ああ、ここのビル感じがいいな」と思い、「このビルを、初芝電産があるビルに設定しよう」と。僕が選んだビルというのは、僕の好きなデザインが多いとも言えますが、それだけ森ビルはいいデザインのビルをつくっているということではないかと思いますね。

(※1)
今度、11月27日に発売される週刊モーニングでは、島耕作は森ビル 森稔社長と対談しています。中国経済から今後の日本まで、幅広いテーマが展開されています。ぜひ紙面をご覧ください。

社長 弘兼憲史?!

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六本木ヒルズスカイデッキと島耕作
© 弘兼憲史/講談社

島耕作の発言というのは、「自分がその立場だったら、どう考えるだろう」ということからはじまっていますから、島耕作が発言したことは、イコール自分の意見でもあるわけです。ですから、いろいろな社会情勢あるいは政治情勢のことを予測したり、当てたりしたときは、ちょっと気持ちがいいですよね。最近は特に、島耕作が社長になったせいでしょうか、注目の度合いが高まっているようにも感じています。

また、いろいろな社長の方と島耕作が対談する企画があるのですが、そのときに自分の考えている事と全く同じことを仰る社長さんもたくさんいらっしゃって、「ああ、自分の考えと近いな」と思うとやっぱりうれしいですね。おこがましい考えかもしれませんが、現実にもし自分が社長をやったらやれるかもしれないというような錯覚さえ覚えるぐらい、同じ意見をおっしゃる方が多いですね。

プロフール

1947年9月9日生まれ。山口県出身。早稲田大学法学部卒業。松下電器産業販売助成部に勤務。同社を退職後、1974年に漫画家としてデビュー。 1985年に『人間交差点』で第30回小学館漫画賞一般向け部門、1991年には『課長島耕作』で第15回講談社漫画賞一般部門を受賞。2000年には『黄昏流星群』で第4回文化庁メディア芸術祭マンガ部門優秀賞を、同作では2003年に第32回日本漫画協会賞大賞など数々の賞を受賞した。2007年にはその功績が認められ、紫綬褒章を受章する。その他の代表作に『加治隆介の議』『ハロー張りネズミ』など。1983年から始まった代表作「島耕作」シリーズは、2008年に社長就任を迎え、さらなる飛躍のときを迎えている。