森ビル株式会社

東京のアートを、上海経由で世界へ(第3回)

2008年05月16日

今月のゲスト:アーティスト ヒロ杉山さん

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広告、映像、音楽。ジャンルを超えて活動するヒロさんが、上海をテーマにした作品作りのために中国へ上陸。日本と中国のアートシーンの違い。上海の街を歩きながらで感じたこと。そして、その先にある可能性。いろいろお聞きしました。

第3回 10年目を迎えたエンライトメント

エンライトメントを始めて、ちょうど10年目です。平面と映像を中心につくってきましたが、今とりかかっているのは立体作品なんですよ。今までエンライトメントがつくってきた平面の作品をFRPという素材で立体化した、大型のフィギュアに近いものです。その立体作品を4月にニューヨークで発表してきました。立体作品は、今までほとんどやったことがなかったのですが、出来上がると平面とは違うドキドキ感があり、これから立体作品に力を入れていこうかなと思っています。

立体作品でも「人物」を追求

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立体作品でも平面と同様に「人物」を追求

僕のひとつのテーマとして、人物を描くということがずっとあります。もちろんですが、人物というのは、全員違う顔を持っていて、表情を持っていて、内面から出てくるものも全員違う。同じ表現なんだけれど、つくるたびに新しい発見があるんです。立体作品にしても同じことだろうと思うので、人物を追求していきたいな、という気持ちでやっています。実際には存在しない人なのですが、いろいろなものをコラージュし、アフリカの彫刻を胸像の上にミックスしていって、マスクのようなものをつくったりといった作品になっています。

映像で今やりたいこと

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アート・ワークを手がけた
Shinichi Osawa "THE ONE"

10年前20年前に比べてハードもソフトも、すごく安く手に入るようになって、学生でも映像を編集できるようになってきました。みんなが同じソフト、同じハードを使って編集して、何が差が出るかというと、やはりその人が持っている経験であったり、内面的なものであったり、そういうものが作品に反映してくるのだと思います。
僕が今やりたいのは、心の動きが映像に反映できるようなものです。何か抽象的な映像立体が自分の心に反映して動き出すといった、まだ漠然として、詳しくは説明できないのですけれど、そういうものをつくっていきたいな、と思っています。
あとは立体映像を最近いろいろなところで見るようになったのですが、自分なりにもう少し発展させて、面白いものができるのではないかと思っていますね。
結局どんなにハイテクが進んだとしても、つくり出す人は人間であって、その人が持っている感情であったりとか、内面的なものがいかにそれに反映できるかということだと思います。

関連リンク

プロフール

1962年東京に生まれる。東洋美術学校卒業後、湯村輝彦氏に師事。
1997年エンライトメント設立、米津智之が参加。伝説のフリーペーパー「トラック」を創刊(全7号)し、NY・パリなど世界8都市に発信。
2000 年パリ、コレットにて個展。新フリーペーパー「ディスプレイ」創刊。渋谷パルコギャラリーにて個展[2-Delight]開催。同時に作品集[2- Delight]出版(コンポジット・プレス)。村上隆キュレーションのスーパーフラット展LA参加。ACTIVE WIRE展(韓国)参加。JAM展バービカンセンター・アートギャラリー(ロンドン)参加。PLANET UNDER A GROOVE展(ブロンクス美術館)参加。2002年JAM展オペラシシティー(東京)参加。2003年名古屋現代美術館にて個展。
2004年箭内道彦らと「風とバラッド」設立。
2005年ヒロミヨシイギャラリーにて個展開催。パリ、シカゴ、北京、マイアミなど海外のアートフェアに参加。スペイン、バルセロナで行われた音楽イベント「ソナー」にVJで参加。「ロープス」立ち上げに参加。パリにてファッションブランド「モスライト」のインスタレーションを行う。イタリア、ナポリにて個展。
2006年キャノンギャラリーにて体感型立体映像を発表。ギャラリー「マジカル」運営メンバーに参加。2007年 六本木クロッシング展(森美術館)参加。