HILLS CAST
“東京をおもしろくするアイデア”を持ったゲストをお迎えしてお届けする「HILLS CAST」は、J-WAVEのラジオ番組「森ビル presents 東京コンシェルジュ」内で放送していた森ビルのラジオCMです。
※掲載内容は、取材・放送時点のものです。
東京のアートを、上海経由で世界へ(第1回)
2008年05月02日
今月のゲスト:アーティスト ヒロ杉山さん

広告、映像、音楽。ジャンルを超えて活動するヒロさんが、上海をテーマにした作品作りのために中国へ上陸。日本と中国のアートシーンの違い。上海の街を歩きながらで感じたこと。そして、その先にある可能性。いろいろお聞きしました。
第1回 新旧が混在した上海の街をイラストに

こんにちは、エンライトメントのヒロ杉山です。
六本木ヒルズができたときにミュージアムショップで販売する商品用の絵を描かせていただいて、今回は、上海環球金融中心のグッズを担当させてもらっています。
上海にはもうかれこれ5、6回行っていますね。最初に行ったのは3年前ぐらいだったのですが、一番驚いたのは人のエネルギー、街が持っている勢いみたいなもの、圧倒されるような感じでしたね。昔ながらの中国と、近代化された中国というのが隣り合っている、そのギャップがところどころにあって、それはもう魅力的でした。
去年の11月に行ったときは、上海環球金融中心の絵を起こすということが目的でしたので、周辺の写真を200枚ぐらい撮って、その中から絵に起こすための素材を選びました。上海環球金融中心はデザインがとてもシンプルですね。上海のビルはゴチャゴチャしたデザインが多いのですが、あれは極力ミニマルにできていて、それが逆に目立つというか、新しい上海のビルを象徴しているのかなという気がしましたね。
ミュージアムショップ用の絵の時は、コンピュータを使ったもので、自分でデジタルカメラでビルを撮影してパースをつくり、それに着色していくという手法だったのですが、今回一番違っていたものは、上海に何度か足を運んで、昔ながらの上海と近代化された上海、それらが混在しているという、それを自分なりに表現できないかと思ってできたのが、環球のビルの絵になっています。まだ製作中ですが。一番のポイントは、グラデーションのような色のつけ方をしているところです。それは中国の伝統的な美術や工芸品などからちょっとインスパイアされています。
懐かしさを感じる上海の街角

上海に何度か行って、夜の上海の街をプラプラ歩いていると、街角で机と椅子を出して上半身裸のおじさんたちが楽しそうに団らんしている風景などをよく見かけるのですが、僕が子どもだった時代も、夏になるとおじさんが外にテーブルを出して、何するわけでもなく近所の人と話したり、そういう光景がなつかしく思えてます。今の日本にはない昭和の風景のようなものが、まだ残っていたりするところが面白かったですね。
本当に人口だけでいうと、中国は12億人、ちょっと想像がつかない人数ですね。上海しか僕は行ったことはないのですが、ヨーロッパの人、西欧の人もたくさん来ていて、ある意味、アジアだけじゃない感じがすごくありました。そこから広がっていく何かに、とても期待できます。
中国のアートやファッション

六本木ヒルズのグッズ
アートに関しては、今、日本は中国に抜かれているような状況です。広告のデザインや雑誌のデザインは、今どんどん面白くなっていく過程なので、そういう部分をアプローチできたら面白いなと思っています。
広告の世界では、日本のどこかで見たことがあるような広告であったり、看板であったり、まだまだ発展途上のところがありますね。規制も結構厳しいみたいですけれど。
アートに関しては、ヨーロッパのコレクターがゴソッと買って行ったり、中国本土のお金持ちが国内のアーティストを買ったり、マーケットがしっかりできつつあります。日本には全くないので、うらやましいですけれど。ファッションなども日本のコピーだったりするものが、多く見られたので、やはり若い人は東京にとても注目しているんだなというのは感じました。
関連リンク
プロフール
1962年東京に生まれる。東洋美術学校卒業後、湯村輝彦氏に師事。
1997年エンライトメント設立、米津智之が参加。伝説のフリーペーパー「トラック」を創刊(全7号)し、NY・パリなど世界8都市に発信。
2000 年パリ、コレットにて個展。新フリーペーパー「ディスプレイ」創刊。渋谷パルコギャラリーにて個展[2-Delight]開催。同時に作品集[2- Delight]出版(コンポジット・プレス)。村上隆キュレーションのスーパーフラット展LA参加。ACTIVE WIRE展(韓国)参加。JAM展バービカンセンター・アートギャラリー(ロンドン)参加。PLANET UNDER A GROOVE展(ブロンクス美術館)参加。2002年JAM展オペラシシティー(東京)参加。2003年名古屋現代美術館にて個展。
2004年箭内道彦らと「風とバラッド」設立。
2005年ヒロミヨシイギャラリーにて個展開催。パリ、シカゴ、北京、マイアミなど海外のアートフェアに参加。スペイン、バルセロナで行われた音楽イベント「ソナー」にVJで参加。「ロープス」立ち上げに参加。パリにてファッションブランド「モスライト」のインスタレーションを行う。イタリア、ナポリにて個展。
2006年キャノンギャラリーにて体感型立体映像を発表。ギャラリー「マジカル」運営メンバーに参加。2007年 六本木クロッシング展(森美術館)参加。