HILLS CAST
“東京をおもしろくするアイデア”を持ったゲストをお迎えしてお届けする「HILLS CAST」は、J-WAVEのラジオ番組「森ビル presents 東京コンシェルジュ」内で放送していた森ビルのラジオCMです。
※掲載内容は、取材・放送時点のものです。
走り続けるパティシエの今(第1回)
2008年03月01日
今月のゲスト:パティシエ 辻口博啓さん

「モンサンクレール」や六本木ヒルズ・けやき坂通りの「ル ショコラ ドゥ アッシュ」など様々なスイーツブランドを次々に立ち上げ、今では日本のスイーツ界をリードする存在となった辻口さんが語る、仕事への愛と情熱、野望。そして故郷への思い。
第1回 5年目の『ル ショコラ ドゥ アッシュ』

こんにちは、パティシエの辻口博啓です。六本木ヒルズの『ル ショコラ ドゥ アッシュ』ができて、今度の4月で5年になります。
『ル ショコラ ドゥ アッシュ』は本当にけやき坂に似合うお店になってきたなと、5年たった今、思うんですね。そこに1つの新しい生活感というか、ライフスタイルというものを築けてきたなという感じがします。
ふらっと立ち寄って飲むショコラショーや、それにアルコールを落としてさらにショコラの香りをより強く楽しむ、その余韻を楽しめるような空間に育ったかなという感じがします。
自分の中の和のルーツ

僕はもともと石川県七尾市で生まれて、能登の原風景の中で見た自分の感性、そういったものが今日もあると思います。
もともとフランスに憧れていたのですが、実際にフランスに渡ったときに思ったのは、自分のルーツというものに対する大切さ。彼らがフランス文化を愛するのと同じように我々にも文化がある、そういったものを強く感じさせてもらいました。そのときに初めて、僕が石川県七尾市で生まれたということ、いつも雨が降っている土地なのですけれど、その雨の中にはそこでしか見ることができない、すばらしい景色、風景、そういったものがあるんだということに気づいたわけです。
七尾市って雨が多いんですね、じめじめしていて本当最悪、曇りも多いし、あまり日が差さないのですけれど、でもその鉛色の空に見える美しさ、また曇り空の中の隙間から差す日の光の美しさとか、何かそういったものが自分の体の中にはしみ込んでいるのかなという感じもします。それで、七尾で辻口博啓美術館『ル ミュゼ ドゥ アッシュ』という美術館をつくったわけです。自分の原点みたいなものって大事にしたいなと思ったのです。
関連リンク
プロフール
1990年「全国洋菓子技術コンクール」で最年少優勝を機に、国際コンクールに出場し、優勝を重ねる。1997年フランス菓子のワールドカップといわれる「クープ・ド・モンド」飴細工部門個人最高得点獲得を含み、国際コンクールに日本代表として出場し3つのタイトルを獲得。1998年自由が丘に「モンサンクレール」をオープン後、コンセプトの異なる10のスイーツブランドを展開。2006年に開館した「辻口博啓美術館」では、6mにも及ぶアメの壁画など、『五感で堪能できるアート空間』を創造し、これまでの「パティシエ」の概念を大きく打ち破る。
現在は各店舗の製造、運営の傍ら、各企業のプロデュースやコラボレーションの他に、著書執筆や講演会、テレビ、ラジオの出演多数。活動は多岐に渡りその活動は、ラジオパーソナリティーをつとめる「アトリエアッシュ」や、自らがナビゲートするライフスタイルマガジン「H・STYLE」発行、公式ブログ『辻口日記』と様々な分野で発信。7月よりスーパーパティシエのお菓子教室「ECOLE-H」により動画によるお菓子教室を配信中。2007年11月には和楽紅屋の3号店目をオープン。辻口の提案する東京土産の「和楽(わらすく)」が大丸 東京店で購入可能になりました。