HILLS CAST
“東京をおもしろくするアイデア”を持ったゲストをお迎えしてお届けする「HILLS CAST」は、J-WAVEのラジオ番組「森ビル presents 東京コンシェルジュ」内で放送していた森ビルのラジオCMです。
※掲載内容は、取材・放送時点のものです。
洋服を超えて、どこへ行こう(第3回)
2007年12月21日
今月のゲスト: ミントデザインズさん

服のデザインをファッションとしてだけではなく、プロダクトデザインとしてとらえる。勝井北斗さんと八木奈央さんによるデザイナー・ユニット「ミントデザインズ」。二人が語る、洋服の先にあるもの。新しい発想とチャレンジ。
そして表参道。
第3回 ものをつくるこだわり

「mintdesigns MITTEN(鍋つかみ)」
柄の生地は生地屋さんといわれる人たちとつくる場合もあるし、自分たちで織っている工場まで足を運んで、機織りやっているところまで行ったり、あとはニットもあるし、できた生地にプリントを加工するという意味で染め屋さんに行ったり、なるべく自分たちで足を運んでオリジナルのテキスタイルをつくっています。ですので大量にはできないのですが、種類・バリエーションは結構たくさんあります。
ほかにもメディコム・トイさんという子どもの玩具の会社から出している「ファーブリック」というシリーズがあって、それにうちが柄をデザインしてコラボレーションでグッズをつくるというシリーズで、いろいろなカテゴリーのもの、スリッパだったり、ミトンだったり、エプロンだったり、ペンケース的なものから、ブックカバーのようなものまで、かなりいろいろなものをつくってきました。そういった意味では、自分たちの当初立ち上げた、プロダクト的なアプローチに、徐々にですけれど結構近づいてきています。そういった意味でも、メディコム・トイさんとの出会いは刺激的でした。
自分たちのグッズも、今までのブランドのようにやろうと思うと、百貨店や普通の洋服屋さんにしか相手にしてもらえなかったのですが、メディコムさんでグッズをやり始めることによって「S and O」さんのように、ミュージアムショップ的なところともおつき合いが出てきました。洋服のお店ではなくてミュージアムショップに行ったときにミントのものが買える、それがすごく面白いかなと思います。今後はできれば海外のミュージアムショップにも置ければいいなと思っています。
洋服とか衣類は、やっぱり百貨店でもいいと思うのですが、ミュージアムショップに来られる方と、百貨店に来られる方はタイプが違うと思うので、できればミュージアムショップにこられる方たちに対してもアプローチをしていきたいと考えています。
これからのミントデザインズ

ブランドだったり、流行の最先端だったり、そういうところにいたいと思っている人だけではなくて、そう思っていない人でも、自分なりの美意識を持っている人もいます。何かそこがすごく空いている気がするんですよね。
例えば、アートに興味があったり、デザインに興味があったりするけれど、「今すごく売れている」というようなセレクトショップに行くのは、自分のスタイルとしてはあまり好きじゃないと思うような人、そういう人が買えるところにミントデザインズの服があればいいなと思っています。
今後の展開、希望ですか?大きく言ってしまうと、ミントデザインズの人数を増やしたい、大きくしたいというのがあるのと、あとはいろいろな人に見てもらいたい、日本国内だけではなく世界の人に見てもらいたいという希望もあります。
それから、自分たちが興味をもっているのは、公共の施設とか、そういったものに何かデザインをしていきたいということです。例えばベンチだとか、電車のシートのテキスタイルだとか、バスでもタクシーでも、駅のホームでもいいし。そういったものがたまに汚く思えるというか、あまり整っていないように思えるので、何かそういうところを、きれいにするというより楽しくするようなことをしてみたいなと思っています。
デザインというものがそんなに特別なものではなくて、「大先生がやるのがデザインだ」みたいに思っている世代ではない人が、そろそろ実権を持っていっていただければ、私たちに話をしてくれる人も出てくるんじゃないかなと思っています。こうやって「S and O」に自分たちの柄のチョコレートを置くということも、立ち上げ当初に実行できると思っていなかったようなレベルのことなんですけれど、それが可能になったのだから、まあ10年後ぐらいに、何かしらそういう公共施設であったり、もう少し違うものもできるのではないかなと思っています。
この間、ベルリンを歩いていて、ベルリンの街中に半球体のものすごく大きいゴミ捨てが、3つポンポンポンって色違いであったのですけれど、そういうのもデザインかなと思いました。
やっぱり視点を変えることだと思うのですね。ドイツ人の学生が今インターンでスタジオに来てくれているんですが、彼女にその話をしたら、「小さいときから見ているので、それが美しいとは思ったことがない。あれはゴミ箱よ」と言われちゃったんです。
もしかしたら、私たちが見慣れているはずの、昔の赤いポストというのがそんなようなもので、特に美しいと思っているわけじゃないし、見慣れたものなんだけれど、外国から来た人が見たら「あっ」と、ちょっとハッとする、そういうものなのかもしれない。ただ、その見慣れているものをそれでよしとするのは、どうかしらと思うけれど、つくり、デザインするという目で、もう1回見直していいものがいっぱいあるなと思っています。まあ電信柱とか本当にどうなの?と思いますしね(笑)。
関連リンク
プロフール
勝井北斗:
1973年、東京に生まれる。パーソンズスクールオブデザインニューヨークで学んだ後、セントラルセントマーチンズカレッジオブアート&デザイン(ロンドン)卒業。帰国後、八木奈央と共にミントデザインズを立ち上げ、現在に至る。
八木奈央:
1973年、大坂に生まれる。同志社大学にて美術芸術学を専攻し、卒業。ロンドンに渡り、セントラルセントマーチンズを主席で卒業。帰国後、ミントデザインズで活動、現在に至る。