HILLS CAST
“東京をおもしろくするアイデア”を持ったゲストをお迎えしてお届けする「HILLS CAST」は、J-WAVEのラジオ番組「森ビル presents 東京コンシェルジュ」内で放送していた森ビルのラジオCMです。
※掲載内容は、取材・放送時点のものです。
洋服を超えて、どこへ行こう(第1回)
2007年12月07日
今月のゲスト: ミントデザインズさん

服のデザインをファッションとしてだけではなく、プロダクトデザインとしてとらえる。勝井北斗さんと八木奈央さんによるデザイナー・ユニット「ミントデザインズ」。二人が語る、洋服の先にあるもの。新しい発想とチャレンジ。
そして表参道。
第1回 ミントデサインズって?

ミントデザインズのベースにあるのは洋服のブランドです。でも洋服をデザインするということだけではなくて、プロダクトのデザインだったりとか、グラフィックのデザインであったりとか、いろいろなものを含めて「デザイン」をしたいという発想で活動しています。3人で立ち上げたのですが、今1人はお休みをとっていて2人がメインで活動しています。
一番最初につくったものは「ボタン」。いろいろなものを含めた「デザイン」という意味に近いですが、洋服つくるのと同じぐらい、焦点を当ててボタンをつくってみたかったのでつくりました。そのボタンは紙でできているパルプのボタンで、ボタンって普通は貝とかプラスチックとかそういったものでできているのですが、あえて紙でつくってみたいというのがあって。今でも使っていてミントデザインズのトレードマーク的な感じになっています。
ボタンカードとしてボタンだけでも売っているのですが、それはボタンとして使用してもいいし、グラフィックととらえて壁に張ってもいいと思うし、洋服の一部と考えて洋服につけてもいいと思っています。
ミントデザインズの世界観「ハッピーミステイク」

「mintdesigns MITTEN(鍋つかみ)」
あまり流行やファッションというモード的な考え方ではなくて、もうちょっとプロダクト的な考え方が根底にあります。ニューヨークの近代美術館に「テキスタイル」のセクションが以前できたのですけれど、「ファッション」のセクションはないんですね。ファッションのセクションは、どうしても風俗というか、歴史博物館の中に入ってしまうのです。でもファッションもデザインの一部なのだから、そういう傾向にならないかなと思っていました。そういう気持ちが一番最初にあって、どちらかというと「ファッション」ではなくて「衣服」という考え方で、できる限りMoMAに入れられるようなプロダクト的な価値観のあるものをつくりたいという気持ちをもっています。
それと同時に、自分たちのキーワードみたいになって使われている言葉があって「ハッピーミステイク」というのですが、これはプリントに出てきたり、レースに「ハッピーミステイク」と書いていたり、あとはもう私たちがものづくりをするときに、常にキーワードとして言ったり、考えたり、それをもとに動いていたりする言葉なのです。意味としては「失敗を肯定的に見よう」ということなのですけれど、それが多分、すごくミントデザインズらしい世界観をあらわしている気がします。
ユニットとしての活動
最近結構ユニットというか、2人とか3人で活動しているブランドなりデザインのグループは多いと思うのですが、自分たちの場合は昔、学校が一緒だったので、そのころから一緒にコラボレーションをしたり、よくコンペがあったので出したりとかしていて、そこからの流れではじまっています。
勝井はどちらかというとテキスタイル寄りのファッションをやっていて、八木の方はどちらかというとデザインで、お互い別のジャンルだったので、そういうやりとりから一緒にコラボレーションを始めるきっかけがありました。
2 人でやっているよさもあれば、多分デメリットもあると思います。ただ1人でやったことがないので、その違いがよくはわからないのですが。2人でやっていてよかったなと思うのは、自分1人で考えてやってしまうと、自分の境界線から出ようとしないんですね。例えば、勝井の方が詳しいような、例えばちょっとメンズ寄りのものだったり、ミリタリー的なことだったり、そういうことに対して八木の苦手意識が最初にあったとして、八木一人だったら、その苦手なものをあえてやろうと思うかどうかということですね。多分、みんな好き嫌いというのがあるので、自分が好きなところでしか仕事をしようとしかしないと思うのですが、自分たちは結構好きなこととかも似ているようでいて違ったりするので、まあ男性女性で違うというのもあるのですけれど、一人よりもすごく幅が広がるというよさはあるかなと思っています。
関連リンク
プロフール
勝井北斗:
1973年、東京に生まれる。パーソンズスクールオブデザインニューヨークで学んだ後、セントラルセントマーチンズカレッジオブアート&デザイン(ロンドン)卒業。帰国後、八木奈央と共にミントデザインズを立ち上げ、現在に至る。
八木奈央:
1973年、大坂に生まれる。同志社大学にて美術芸術学を専攻し、卒業。ロンドンに渡り、セントラルセントマーチンズを主席で卒業。帰国後、ミントデザインズで活動、現在に至る。