森ビル株式会社

東京をかきまぜよう(第4回)

2007年11月30日

今月のゲスト:アートディレクター 佐藤直樹さん

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森美術館「六本木クロッシング2007:未来への躍動」展、キュレーターの一人。時やジャンルを超えて交じりあう表現。そこから生まれるエネルギーや力。佐藤さん自身も、東京に対する既成概念を壊す動きに取り組み始めているそうです。

第4回 One show受賞作品「Mid Tokyo Maps」について

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One showを受賞した「Mid Tokyo Maps」

森ビルとのかかわりは、きっかけは一番最初はウェブサイトの「Mid Tokyo Maps」でした。2000年の1年間かけて、東京のいろいろな表情を少しずつアップしていくという、当時のインパクに参加していた企画で、1年間、森ビルの人やいろいろなクリエーターとチームを組んで、東京の表情をできるだけたくさん紹介していこうとウェブサイトをつくっていました。それがOne Showという有名な広告賞の金賞を日本から初めて受賞したり、海外からも評価されまして、大きな経験となりました。
「Mid Tokyo Maps」のころから7年たって、東京もだいぶ変わってきたと思います。「Mid Tokyo Maps」のときは自分たちも勉強しながら、別にお堅い勉強ではなく、本当に東京を観察して、物の見方をこういうふうにして変えたらどう見えるだろうと考えながら、いろいろな提示をしていました。歴史的なこと、空間的なこと、居住という面だったり、働く、遊ぶ、いろいろな面でですね。
そのときはまだ六本木ヒルズが、できていないんですよね。打合せしながら窓の外を見ていると、ちょっとずつ高くなっていったという、そういう時期でした。
今あそこに六本木トライアングルという形で美術館がどんどんできて、1つの象徴になっていると思うのです。今回の『クロッシング』もそうですし、やはりここでしかできないという発信の仕方は少しずつ見えてきているのではないかと思っています。世界的にも注目度が高いのではないかと思います。
それとはまた全く違う東側の風景など、多様性、多層性というところはすごくあると思っているので、あまり「東京って、こうだよね」と思い込まないようにしています。たくさん表情があるので、遊び方とか移動とか、自分たちでもいろんなことができるといいなと思っています。
『六本木クロッシング』に来た人が『セントラル・イースト・東京』にもちょっと興味を持ってくれたりとか、逆にいわゆるアンダーグランドなものに注目している人も、案外『クロッシング』も面白いよというように、できるだけ横断していろいろなものを紹介していきたいし、あまり平板にならないというのが一番楽しいのではないかと思います。大規模なものがガーッと宣伝されると、みんなちょっと浮き足立ってしまうところがあると思うのですけれども、「何か流行についていけないとまずい」とか、「今はこういう流れらしい」とか、あまりそういうことは気にしなくていいかなという感じはちょっとしています。本当にもう少しみんなゆっくりしていいと思うので。

プロフール

1961年生まれ。北海道教育大学卒業後、信州大学で教育社会学を学ぶ。肉体労働から編集までの様々な職業を経た後、1994年『ワイアード』日本版創刊にあたり米国ワイアード・ベンチャー社へデザイン・プレゼンテーションを行い、アートディレクターに就任。同誌のクリエイティブディレクターを経て独立。 1996年に株式会社ソイグラフィカを設立し、1998年に株式会社アジール・デザインへと移行。エディトリアルの枠を超え、音楽・映画・ファッション等々へとフィールドを広げつつ、グラフィックから映像やウエブに至るメディアの横断的ディレクションを行ってきた。2004年には新ジャンルの開拓をさらに強化すべく株式会社アジール・クラック設立。現在は、株式会社アジール(ASYL)として統合し、多種多様なメディアに対応している。