森ビル株式会社

東京をかきまぜよう(第1回)

2007年11月09日

今月のゲスト:アートディレクター 佐藤直樹さん

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森美術館「六本木クロッシング2007:未来への躍動」展、キュレーターの一人。時やジャンルを超えて交じりあう表現。そこから生まれるエネルギーや力。佐藤さん自身も、東京に対する既成概念を壊す動きに取り組み始めているそうです。

第1回 「六本木クロッシング」の企画、キュレーションについて

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展示風景:
「六本木クロッシング2007:未来への脈動」
東恩納裕一 2007年

こんにちは、アートディレクターの佐藤直樹です。森美術館で10月13日から来年の1月14日にかけて行われる『六本木クロッシング2007:未来への脈動』というエキシビションにキューレーターとしてかかわっています。普段はアートディレクターということで、雑誌、広告などのグラフィックデザインを中心に仕事をしているのですけれども、今回は美術評論家の椹木野衣さん、同じく美術評論家の天野一夫さん、森美術館の荒木夏実さんの4人でキューレーターチームを構成しています。
普段、あまりデザイナーがキューレーターなどやらないのですが、その名のとおり「クロッシング」ということで、あまりお堅い美術界の中でということだけではなくて、もっと普通に楽しめるデザインとか、映像、マンガまで領域を広げた上で、もう1回しっかりみんなに楽しんでもらえるもの、それだけ力持っているものを決めようじゃないかということで、かかわっています。
「雑誌や広告をつくったり、媒体でやっていることとキューレーションって大きく発想の次元が違うんでしょうか」と聞かれることもありますが、僕の中では全然変わらないですね。普段から雑誌にかかわってデザインするといっても、ただ並べるだけではなくて、「こういう人がいるよ?」「こういう面白い人、使わないの?」とか、そういうことを編集者と話しながらやっていますから。

あとは僕、いま東京の東側、馬喰町とかのエリアに注目しているのですが、あまり若い人がおしゃれに遊びに来るところではなくて、むしろダサイ場所なんです。ダサイ場所と言ってしまったらちょっとおこられるかもしれないけれど、自分も事務所を引っ越して、これからいろいろ東側で活動しようと思っています。ギャラリーが増えてきたり安い物件が見つかるのでアトリエにしているアーティストがいたりします。そこで2003年ぐらいから毎年『セントラル・イースト・東京』というイベントをやっていて、若い人で面白い表現をする人を見つけたら、どんどん興味を持って会いに行ったりしてきているので、割と自然にキューレーターチームの中に入っていけたとも思いますね。

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プロフール

1961年生まれ。北海道教育大学卒業後、信州大学で教育社会学を学ぶ。肉体労働から編集までの様々な職業を経た後、1994年『ワイアード』日本版創刊にあたり米国ワイアード・ベンチャー社へデザイン・プレゼンテーションを行い、アートディレクターに就任。同誌のクリエイティブディレクターを経て独立。 1996年に株式会社ソイグラフィカを設立し、1998年に株式会社アジール・デザインへと移行。エディトリアルの枠を超え、音楽・映画・ファッション等々へとフィールドを広げつつ、グラフィックから映像やウエブに至るメディアの横断的ディレクションを行ってきた。2004年には新ジャンルの開拓をさらに強化すべく株式会社アジール・クラック設立。現在は、株式会社アジール(ASYL)として統合し、多種多様なメディアに対応している。