森ビル株式会社(東京都港区、代表取締役社長 辻慎吾)は、自然関連財務情報開示タスクフォース(Taskforce on Nature-related Financial Disclosures、以下TNFD)の提言に基づき、これまでの都市づくりを通じた生物多様性に関する情報を開示しました。本開示では、当社の戦略エリアである港区における都市再開発事業および地域エネルギー供給事業を対象に、自然関連への依存と影響を分析するとともに、ポジティブインパクトの分析を実施。その結果、各ヒルズ内の緑地と周辺の主要な緑地との相互作用により、約180種の昆虫が往来する都心部のエコロジカルネットワークが形成されていることが確認されると共に、生物多様性や炭素蓄積量に富む里山に近い豊かな土壌が形成されていることが明らかとなりました。

TNFD提言に基づく自然関連情報の分析結果

  1. 絶滅危惧種を含む約180種の昆虫が往来するエコロジカルネットワークの形成
    アークヒルズ、六本木ヒルズ、麻布台ヒルズ、虎ノ門ヒルズなどの各ヒルズは、多様な生物にとって生息地ポテンシャルの高い緑地と水辺を備えているだけでなく、皇居や芝公園など周辺の主要な緑地との相互作用により、都心部における多様な昆虫と植物によるエコロジカルネットワークが形成されており、生物多様性の維持・拡大に貢献していることが明らかとなりました。
    また、東京都の絶滅危惧種に指定されているアカシジミを含む約180種の昆虫が行き来できていることが示唆されました。
  2. 里山に近い炭素蓄積の豊富な土壌の醸成
    各ヒルズ内の土壌は、開発時の設計思想や、竣工後の管理・運営、時間の経過による土壌の熟成等により、土壌微生物の多様性が豊かであり、里山林土壌に類似した物質循環に関わる機能を持っていることが明らかとなりました。
    さらに一部土壌では、非常に高い炭素蓄積レベルにあることが推測され、土壌への炭素蓄積による地球温暖化緩和への貢献が示唆されました。
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都心部のエコロジカルネットワークを形成

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里山に近い豊かな土壌(アークヒルズ)

都市はあらゆる活動の基盤であり、持続可能な社会実現の鍵です。当社は、引き続き、「都市を創り、都市を育む」の理念のもと、"都市と自然の共生""都市の脱炭素化""資源循環型の都市"を追求し、未来へとつながるネイチャーポジティブの実現に向けた取り組みを推進してまいります。