森ビル株式会社(東京都港区、代表取締役社長:辻慎吾)は、国立研究開発法人建築研究所の委託事業「革新的社会資本整備研究開発推進事業(BRAIN)」(※)の一環として、最新のIoT技術による「土地建物格付けシステム」を独自開発しました。本システムでは、多数の地盤と建物に設置されたローパワーネットワークセンサを通じて震災発生時の揺れ特性に関する観測データを収集し、各建物の揺れ性能を分析・格付けすることで、都市全体の震災リスクを見える化・定量化することが可能となります。本事業の共同受託者である株式会社小堀鐸二研究所と共に早期に本システムの社会実装を行い、事業化を目指してまいります。

本システム用に開発された地震センサは、乾電池で1年以上の駆動が可能な、省電力かつ無線式の小型センサであり、電気工事が不要で屋外にも設置可能です。このセンサを都市内の様々な場所に設置し地震時の地盤と建物の揺れを測定、得られたデータを独自のアルゴリズムによって解析することで、各建物の揺れ性能について定量評価と格付け(ランキング化)を実現します。本システムによる分析結果をもとに、各ビルの所有者や管理者などが適切な震災対策を実施することで、都市全体の震災リスクの低減に貢献します。

建て替えの適正判断も可能に、脱炭素社会の実現に向けた社会的要請にも対応

また、1981年の新耐震基準の施行から約40年が経過する中、償却期間の50年経過を見据えて、同基準を満たす建物についても建て替えの要否が検討され始めています。一方、それぞれの地盤の条件や建物の老朽化スピードは一律ではないため、どのようにして各建物のリスクと安全性を正しく評価するかが課題となっています。しかしながら、本システムによって揺れ性能が確認されれば、築年数の経過した建物であっても建て替え等することなく継続使用が可能となり、これからの脱炭素社会の実現に向けた社会的要請にも対応します。

※「革新的社会資本整備研究開発推進事業(BRAIN)」:国立研究開発法人建築研究所が建築・住宅・都市分野の国土強靭化や生産性向上等に資する革新的技術の事業化に向けた研究開発を推進することを目的とした委託研究制度。

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当社は、これまでに培ってきた都市開発・都市運営のノウハウを活かしながら、最先端技術を活用した都市情報の統合・可視化を推進することで、引き続き、安全・安心な都市づくりに貢献してまいります。