2025年 東京23区オフィスニーズに関する調査
新規賃借予定企業の6割が「面積拡大」と回答5年連続で増加~直近の賃料改定で増額した企業の割合も89%と過去6年間で最高に~
森ビル株式会社(東京都港区 代表取締役社長 辻慎吾)は、オフィスマーケットの需要動向を把握することを目的に、「東京23区オフィスニーズ調査」を2003年より継続的に実施しています。当調査は、主に東京23区に本社が立地する企業で資本金上位の約1万社を対象として、今後の新規賃借予定等のオフィス需要に関するアンケートを行ったものです。この度、2025年調査がまとまりましたので、結果をご報告します。
新規賃借予定のある企業の6割が「面積拡大」と回答
新規賃借理由は「立地改善」「業容・人員拡大」「設備グレード改善」など
2025年9月に実施した今回の調査では、「新規賃借予定あり」と回答した企業が27%となり、この数年間は全体の約4分の1で推移。うち、「新規賃借面積拡大予定」の割合は2020年調査より5年連続で増加し、6割が「拡大」と回答しました。

新規賃借予定のある企業にその「理由」を尋ねたところ、直近3年間(2023~2025年調査)の回答割合の平均値を見ると、1位が「立地の良いビルに移りたい」、2位が「新部署設置、業容・人員拡大」、3位が「設備グレードの高いビルに移りたい」となりました。これをコロナ禍の3年間(2020~2022年調査)と比較すると、「賃料の安いビルに移りたい」「働き方の変化に応じたワークプレイスの変更」が減少傾向となりました。
直近の賃料改定で増額した企業の割合は89%
直近の賃料改定で増額と回答した企業の割合は、過去6年間で最高となる89%となりました。また、今後1年以内に賃料が値上げとなる場合、約4割が「5~9%の値上げ」を、約3割が「10%以上の値上げ」を許容すると回答しました。
「建物管理における人件費や光熱費の上昇」や「物価の上昇」を理由に、妥当だと考える月額賃料も増加傾向にあり、賃料値上げに対する理解の広がりが窺えます。

オフィス出社率は約8割で安定的に推移
過半数の企業がオフィス環境づくりのための支出を「投資」と回答
従業員のオフィス出社率について問う設問では、出社率の平均は78%と前回調査時点と同水準になりました。今後の出社率の予想も平均78%となっており、コロナ禍後の出社回帰の動きは、出社率8割程度で落ち着きつつあります。
また、オフィス内の従業員数について、昨年と比較した際の増減を問う設問では、40%の企業が「増えた」と回答。今後の見通しについても44%の企業が「増える」と回答しており、従業員数は引き続き増加傾向にあります。
オフィス環境づくりのための支出は投資かコストかを問う設問では、全体の54%が「投資」または「どちらかといえば投資」と回答。従業員300人以上の企業に絞ると、その割合は66%に上りました。

大企業の過半数がLEEDやWELLなどの環境認証を重視
オフィスビルを選定する際に、LEED 認証やWELL 認証等の環境認証をどの程度重視しているのかを問う設問では、全体の3~4割程度が「重視する」と回答。従業員300人以上の企業に絞ると、その割合は過半数となりました。重視する理由として、71%の企業が「従業員が快適・健康に働けるオフィス環境確保のため」と回答。従業員にとっての快適性や健康への配慮が、オフィス選びにおいて重要視されていることが窺えます。

企業による新規賃借・賃借面積拡大の意向は引き続き根強く、立地・ビルグレード改善を目的として新規賃借を検討する企業が増加しています。また、オフィス環境づくりのための支出を「投資」と捉える企業も増加傾向にあり、妥当だと考える月額賃料も増加傾向にあります。これらのことから、引き続き都心の良質なオフィスに対する需要は堅調に推移し、賃料の上昇傾向も続いていくと考えられます。


