森ビル株式会社(東京都港区、代表取締役社長:辻 慎吾)と東京電力エナジーパートナー株式会社(東京都中央区、代表取締役社長:長﨑 桃子)が共同で設立した「虎ノ門エネルギーネットワーク株式会社」(東京都港区、代表取締役社長:中島 慶治)は、この度、虎ノ門ヒルズ ビジネスタワーに電力・熱の供給を行う虎ノ門一丁目地区地域冷暖房事業施設における電力負荷平準化の取り組みが評価され、令和5年度デマンドサイドマネジメント表彰<総合システム部門>の最優秀賞「経済産業省資源エネルギー庁長官賞」を受賞しました。

「デマンドサイドマネジメント表彰」(主催:一般財団法人ヒートポンプ・蓄熱センター)は、電力負荷平準化システムの普及および社会啓蒙を目的に、電力負荷平準化効果に優れた取り組みを表彰する制度です。

この度、虎ノ門エネルギーネットワーク株式会社が受賞した「経済産業省資源エネルギー庁長官賞」は、最も優れた取り組みに与えられる賞です。

評価されたポイント

  1. 大規模蓄熱槽とコージェネレーションシステムの約900kW(虎ノ門エネルギーネットワーク使用電力の34.5%相当)の電力低減による電力負荷平準化
  2. 電力需給ひっ迫時のデマンドレスポンスの対応(熱源運用に切り替え、2,200kWhの消費電力量を低減)
  3. AIを活用した運転最適化や運転管理者の負担軽減
  4. テナント、需要家(ビル管理者)、エネルギーセンターが三位一体となった省エネやデマンドレスポンス制御
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虎ノ門ヒルズ ビジネスタワー

虎ノ門一丁目地区地域冷暖房事業施設の取り組み

(1)大規模蓄熱槽とコージェネレーションシステムによる電力負荷平準化

大規模蓄熱槽(4,100m³)を活用し、蓄熱槽に蓄えておいた冷水を、電力需要が高まる昼間の空調に利用することで、虎ノ門エネルギーネットワークの1時間当たりの最大使用電力(約2,600kW)の34.5%相当(約900kW)を低減し、電力負荷の平準化を実現しています。
大規模蓄熱槽は、冷水を需要家に供給するインバータターボ冷凍機とも組み合わせて運用。製造した冷水を需要家に供給すると同時に蓄熱することで、インバータターボ冷凍機の高効率運転も実現しています。また、発電と共に発生した熱も利用するコージェネレーションシステムを平日の昼間に活用することで、電力負荷平準化に貢献しています。

(2)電力需給ひっ迫時のデマンドレスポンスの対応

電力需給がひっ迫し、一般送配電事業者から節電の要請があった際には、蓄熱槽からの放熱を主体とした熱源運用に切り替えが可能です。これにより、需要家やテナントへ影響を与えることなく、デマンドレスポンス発令時間(3時間)内に計2,200kWh程度の消費電力量を低減することが可能。一般送配電事業者系統の電力安定供給に寄与します。

(3)AIを活用した運転最適化や運転管理者の負担軽減

AI技術を活用した統合エネルギーマネジメントシステムを導入し、電気・熱の負荷予測や、システム全体の最適運転計画の立案に活用することで、高効率運転に貢献しています。加えて、計画立案自動化により、運転管理者の負担軽減も実現しています。

(4)三位一体となった省エネやデマンドレスポンス対応への取り組み

テナント、需要家(ビル管理者)、エネルギーセンターが三位一体となって省エネやデマンドレスポンス対応に取り組む、需要家側も巻き込んだエネルギーマネジメントシステムを構築しました。計画段階から竣工後の運用段階まで、三者で定期的に性能検証会議等を開催することを通じて実現した取り組みです。エネルギーセンター側の省エネ運用効果と、需要家側への影響などの検証を実施し、エネルギーマネジメントの高度化を図ります。