2021年は「未来に向けて詰めきる、勝負の年」だ。

長い時間と膨大なエネルギーをかけて進めてきた「虎ノ門・麻布台プロジェクト」と「虎ノ門ヒルズエリアプロジェクト」が、2023年にいよいよ現実の都市として動き出す。理想の都市として世に出すために、今年1年間で非常に多くのことを詳細かつ具体的に詰めきらなければならない。

「虎ノ門・麻布台プロジェクト」のコンセプト「Modern Urban Village ~Green & Wellness~」で掲げた環境と心身の健康は、コロナ禍を経てますます重要視されている世界的なテーマだ。このプロジェクトが1つの解となるような、世界に誇れる街を創り出す。「虎ノ門ヒルズエリア」も2023年に「ステーションタワー」が竣工すれば、「国際新都心・グローバルビジネスセンター」として本格的に動き出す。地下鉄駅前広場や国道をまたぐ歩行者デッキなど、これまでにない画期的な都市機能は、今後の都市づくりに大きな影響を与えるだろう。さらに、「六本木5丁目プロジェクト」も都市計画提案に向けて全力で推進していく。

我々のように長期かつ大規模な都市づくりに携わる者は、「変わらないもの」と「変えていくべきこと」をしっかりと見極めることが重要である。足元のコロナ禍だけに捉われて「人間の本質」「都市の本質」を見失うようでは、大規模都市再生事業などできない。「人の営みを中心に据えた都市づくり」という森ビルの基軸は決して「変わらないもの」であり、時代を超えて求められるものだ。真に考えるべきは、人々の価値観やワークスタイル、ライフスタイルの変化に対して、都市をどう進化させていくかということだ。

世界や社会、テクノロジーは大きく変わり、急速に進化している。都市づくりにおいても考えなくてはならない要素が格段に増え、迅速な判断と実行が求められる。こういう時代には、年齢や立場による「感じ方の違い」が際立ち、それが次の時代を予測するうえで重要なヒントになる。社員ひとりひとりが世の中や顧客の変化を敏感に感じ取り、議論し、速やかに対応できるような自律的な組織でなければいけない。社内の至るところから沸々とアイデアや企画が生まれ、スピーディーに実践できる会社にしたい。

この1年は、これまでになく濃密な時間になるだろう。
今、取り組んでいる都市づくりをやり遂げれば、森ビルはまた1つ新たなステージに昇れるはずだ。