インフラストラクチャー

交通網を整備しながら歩行者にもやさしい街へ。

六本木ヒルズの再開発では、環状3号線(麻布十番側)と六本木通りを平面接続する連結側道を整備し、広域交通網の利便性向上を図りました。連結側道の上部には広場状の歩行者デッキ「66プラザ」を新設。66プラザの下は連結側道と敷地内車路の出入口、さらにその下には麻布トンネルがある三層構造になっています。道路工事と両側の建築工事を一体的に計画・施工することによって実現できました。これは都市再開発事業ならではの手法です。

地区のメインストリートである「けやき坂通り」は、地区の東西を横断しテレビ朝日通りと環状3号線を接続しています。沿道にケヤキ並木を配し、両側敷地の壁面後退部分を含め実質幅員24mの街路空間として整備。道路整備と沿道建築物の整備を一体的に行うことによって、街路景観的にデザインされたゆとりある歩行者空間を実現しました。また敷地内に自動車専用動線「センターループ」を整備。駐車場出入口や車寄せ、タクシーベイ、路線バスの停留所などを設け、周辺道路への影響を減らすと同時に歩車分離・バリアフリーにも配慮しています。

麻布台ヒルズにおいても、道路や広場などのインフラを整備。麻布台ヒルズがあるエリアは、桜田通り、外苑東通り、麻布通りに囲まれていましたが、東西を貫通する道路が整備されておらず、特に南北方向の尾根道が外苑東通りに抜けられない状態でした。麻布台ヒルズの開発では、この不完全な交通網を改善。尾根道を外苑東通りに接続し、東西方向には「桜麻通り」を新設しました。また、六本木一丁目駅と神谷町駅を結ぶバリアフリー・アンブレラフリーの地下歩行者通路や、デッキ、地下鉄連絡広場なども整備。交通の課題を解決するとともに、防災面においても都市機能の更新を実現しています。

都市インフラと一体となった開発。

虎ノ門ヒルズでは、よりインフラと一体となった開発が進められました。虎ノ門ヒルズ 森タワーは、道路と建物を複合する立体道路制度を活用することで環状2号線(新橋・虎ノ門区間)と一体整備。羽田空港へのアクセスも飛躍的に向上しました。地上部には東京の新たなシンボルストリートとなる新虎通りが実現しました。環状二号線は1946年の都市計画決定から70年近くものあいだ未整備の状態にありましたが、再開発によって「幻の都市計画道路」が一気に実現に向かったのです。

また2023年に開業した虎ノ門ヒルズ ステーションタワーは、日比谷線の新駅と一体開発。東京メトロ・国・東京都と協働し、50年以上も生まれなかった地下鉄新駅を再開発事業と一体とすることで、わずか10年というスピードで実現。日比谷線開通以来56年ぶりにして初の新駅「虎ノ門ヒルズ駅」が誕生。街と駅を一体開発したことで、これまでの地下鉄駅にはないスケールの駅前広場「ステーションアトリウム」が整備されました。

また国道1号線「桜田通り」上には、森タワーとステーションタワーをつなぐ幅員20mの大規模なデッキ「Tデッキ」を整備。これにより、幹線道路で街を分断することなく快適な歩行者ネットワークを実現しています。街をつなぎ、人々をつなぐ、かつてない規模の歩行者デッキ。これもまたインフラとの一体整備でなければ実現できなかったことです。