文化とアート
経済と文化が共存する都市へ。
都市には経済活動を支えるだけではなく、豊かな都市生活を実現するための文化的魅力が不可欠。そんな強い想いから、森ビルの都市づくりではつねに「文化」を大切な要素のひとつとして位置づけてきました。
その取り組みは1986年に開業したアークヒルズにまでさかのぼります。当時は高度経済成長期が終わり、職住分離型の都市構造が定着していました。遠距離通勤が人々の自由な時間を奪い、都心部には働く場だけが残るという状況が広がっていたのです。そうした時代背景のなか、経済活動を支えるだけではなく文化的魅力を備えた都市づくりへの模索がはじまりました。その象徴が、東京初のコンサート専用ホール「サントリーホール」です。「世界一美しい響き」をコンセプトに掲げたこのホールの開館は、文化・芸術を育む森ビルの都市づくりのスタートになりました。
さらに森ビル初の文化事業として「アーク都市塾」もスタート。都市における学びの場をつくる取り組みは、その後のヒルズにも受け継がれています。やがてアークヒルズにはオフィスワーカーだけでなく多様な人々が集まるようになり、街に潤いや活力が生まれていきました。
六本木ヒルズと 「文化都心」の誕生。
この流れから「文化都心」というコンセプトが生まれ、2003年に開業した六本木ヒルズに受け継がれました。メインタワーである森タワーの最上部に、あえて森美術館を設置。それは経済だけでなく文化を大切にするという森ビルの意思表明でした。開館から20年間で約60本の展覧会が開催され、累計入場者数は1,880万人超。現在ではアジアを代表する現代美術館のひとつに成長しました。また展示だけでなく、人や街と連動したラーニング・プログラムにも積極的に取り組んでいます。さらに2009年からは六本木の街全体を巻き込んだイベント「六本木アートナイト」(※)も開催されるなど、六本木はアートの街としての存在感を確かなものにしました。
東京都、公益財団法人東京都歴史文化財団 アーツカウンシル東京、港区のほか、森ビルも参画する六本木アートナイト実行委員会(国立新美術館、サントリー美術館、東京ミッドタウン、21_21 DESIGN SIGHT、森美術館、森ビル、六本木商店街振興組合(五十音順))が主催する六本木の街を彩るアートの饗宴

文化都心・六本木ヒルズの象徴 森美術館

塩田千春《不確かな旅》 2016/2019年
Courtesy: Blain|Southern, London/Berlin/New York
展示風景:「塩田千春展:魂がふるえる」森美術館(東京)2019年
撮影:Sunhi Mang
アートを身近に感じられる 暮らし。
そのほかのヒルズにおいても文化・芸術の理念は受け継がれています。日常のなかで文化や芸術に触れられるよう、街の随所にパブリックアートを配置。アートを身近に感じられる街づくりを体現しています。文化とは、特別な人だけのものではありません。誰もが気軽に一流の文化や芸術に触れ、その感動や刺激が新たな創造へとつながっていく。そんな循環を生み出す都市環境こそ、これからの時代に求められるものです。

ジャウメ・プレンサ
《ルーツ》
2014年

ルイーズ・ブルジョワ
《ママン》
1999/2002年
ブロンズ、ステンレス、大理石
9.27 x 8.91 x 10.23(h)m
世界に向けて、 東京の文化を発信する。
近年では虎ノ門ヒルズに情報発信拠点「TOKYO NODE」が誕生。麻布台ヒルズには「麻布台ヒルズ ギャラリー」と、お台場から移転した「森ビル デジタルアート ミュージアム:エプソン チームラボボーダレス」がそれぞれ新たに生まれました。つねに新しい何かが起きている場所として、世界の人々が目的として訪れる「ディスティネーション」になっています。訪日目的の人々が街に賑わいを生むことで、東京のさらなる国際競争力向上につながると私たちは考えています。森ビルは、今後もこうした文化施設を通じて東京の磁力向上に取り組んでいきます。

TOKYO NODE 開館記念企画「Syn:身体感覚の新たな地平」

「森ビル デジタルアート ミュージアム:エプソン チームラボボーダレス」麻布台ヒルズ, 東京 © チームラボ