森ビル株式会社(東京都港区 代表取締役社長 辻慎吾)は、オフィスマーケットの需要動向を把握することを目的に、「東京23区オフィスニーズ調査」を2003年より継続的に実施しております。当調査は、主に東京23区に本社が立地する企業で資本金上位の約1万社を対象として、今後の新規賃借予定等のオフィス需要に関するアンケートを行ったものです。この度2021年調査がまとまりましたので結果をご報告いたします。

緊急事態宣言解除後の2021年10月に実施した今回の調査では、新規賃借予定のある企業が増加しました。また、昨年の結果と比較し、賃借面積拡大予定の企業の割合が、縮小予定を上回る結果に転じました。

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さらに、新規賃借予定のある企業にその「理由」を尋ねたところ、新設項目の「働き方の変化に応じたワークプレイスの変更のため」が1位となり、次いで「賃料の安いビルに移りたい」が2位、「立地の良いビルに移りたい」が3位となりました。「新部署設置、業容・人員拡大」が増加(14%→16%)する一方、「賃料の安いビルに移りたい」の回答割合が減少(37%→29%)するなど、経済活動正常化への動きを背景とした企業心理改善の兆しが見られました。

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また、オフィス環境づくりにおける課題として「従業員のエンゲージメント向上」「社内コミュニケーション」「人材能力開発の強化」などを挙げる企業が増加。オフィスビルの共用施設やワーカー向けサービスでは、飲食や健康に関連する施設・サービスや、執務環境の向上に寄与する施設・サービスへの高いニーズが見られました。

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コロナ禍は、従業員がオフィスに出社する意義や必要性を考える契機となりましたが、同様に、企業においても自社のオフィスをその物件に構える明確な理由(そこにオフィスを構える意義)を改めて考える契機となりました。
働き方の変化の中で、リモートワークでは対応が困難な「社内外のコミュニケーション促進」「従業員の健康管理」「従業員のエンゲージメント強化」をオフィス環境における課題と捉える企業は多く、オフィスビルにおいては、このような課題解決に寄与するハード・ソフト両面での商品力の有無による二極化が進んでいくものと予想されます。