森ビル株式会社(東京都港区、代表取締役社長 辻慎吾)は、経済産業省が公募した令和4年度「海外における起業家等育成プログラムの実施・拠点の創設事業」(以下、本事業)の委託先に選出され、米国・シリコンバレーにビジネス拠点を創設することになりました。本事業は、政府による「スタートアップ育成5か年計画(※1)」の一環として、日本のイノベーション創出の加速と、スタートアップ・エコシステム形成を目的としており、特に世界基準の行動感覚やネットワークを有するイノベーション人材の輩出と、グローバルな先端地域と日本のスタートアップ・エコシステムとの繋がりの強化を図るものです。

※1 岸田内閣が、2022年11月24日に発表したスタートアップ育成強化の方針
https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/atarashii_sihonsyugi/bunkakai/suikusei_dai3/siryou1.pdf

「イノベーション人材の育成」と「世界の先端地域との繋がり」が鍵

日本におけるイノベーション創出の加速と、スタートアップ・エコシステム形成の鍵となるのは、イノベーションを担う人材の育成と、シリコンバレーをはじめとするグローバルな先端地域との繋がりだと言われています。日本のイノベーション創出の課題として、起業の際にグローバルな視点を持って世界規模でビジネス展開を目指す企業が少なく、ユニコーン企業(※2)が生まれづらいことや、いざ世界を視野にビジネス拡大を試みるも、シリコンバレーをはじめとする世界の先端地域のキーパーソンとのネットワーク不足によって、資金調達、人材確保、販路拡大などが困難であることが挙げられます。
本事業は、これらの課題を解決すべく、(1)米国西海岸等における起業家等育成プログラムの実施、(2)米国東海岸及び世界各地における起業家等育成プログラムの実施及びグローバルイベントの開催、(3)シリコンバレービジネス拠点の創設、を同時に推進するもので、当社は(3)シリコンバレービジネス拠点の創設を受託・推進いたします。

※2 創業してから10年以内、企業価値評価額10億ドル以上で未上場のベンチャー企業のこと。一般的にはテクノロジー企業とされる。

虎ノ門ヒルズのインキュベーションセンター「ARCH」における実績を評価

当社は、「国際新都心・グローバルビジネスセンター」の形成を目指す虎ノ門ヒルズで、大企業の新規事業創出を支援するインキュベーションセンター「ARCH」を2020年より運営しています。「ARCH」にはコミュニティ・マネージャーが常駐し、交流イベントや起業家を招いたセミナー(年230回以上)や、事業創出に向けたマッチング支援(年360件以上)などを通じて、イノベーション創出のための「場」と「仕掛け」を提供。開設からわずか3年で、大企業約120社・約900名に加えて、会員の大企業に限らずスタートアップ企業や自治体も巻き込んだスタートアップコミュニティへと成長を遂げています。加えて、虎ノ門ヒルズ ビジネスタワーには、世界最大のイノベーションコミュニティ「CIC TOKYO」が開設。CICには既に250社を超える企業が参画し、毎日様々なイベントを実施しており、国内最大規模のスタートアップコミュニティになっています。「ARCH」と「CIC」との間でも、コミュニケーションやコラボレーションを促進することで、様々な相乗効果を発揮しています。
新たに創設されるシリコンバレービジネス拠点では、コミュニティ・マネージャー等を配置し、日本のスタートアップ企業と、海外の企業や投資家とのネットワーキングを活発に推進することが求められており、このたびの事業受託においては、「ARCH」における当社の実績が評価されると共に、シリコンバレーのビジネス拠点と「ARCH」の連携による相乗効果も期待されています。

当社は、引き続き、多様なプレーヤーが集い、対話し、共創する「場」と「仕掛け」づくりを推進し、東京・日本の社会課題の解決に寄与すると共に、国際都市・東京の磁力向上に貢献してまいります。

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「ARCH」でのワークショップの様子