2023年は、森ビルにとって大きな節目の年となる。いよいよ「虎ノ門ヒルズエリア」と「麻布台ヒルズ」が現実の街として、その姿を現す。これまで本当に長い時間をかけながら、全社一丸となって脇目も振らずに取り組み続けてきた森ビルの都市づくりを、広く世界に発信する時がきた。六本木ヒルズ級の街を1年で2つも誕生させるのは、森ビルの歴史上でも初めてのことだ。その大変さは我々の想像の範囲を遥かに超えるものになるが、森ビルであればやり遂げられる。

森ビルは20年以上も前から「国際都市間競争時代の到来」を唱え、「都市再生による日本経済の復興」を提唱してきた。世界から人や企業、モノ、金、知恵を惹きつけるためには、経済だけの都市や職住分離の都市ではなく、あらゆる都市機能が徒歩圏内に集約されたコンパクトシティが必要だと考え、地元の皆さんと共に長い時間をかけて大規模な都市再開発事業を同時並行で推進してきた。そして、今や、多くの人々が、「都市間競争を勝ち抜くためには、都市再生が不可欠だ」と認識するようになっている。

「虎ノ門ヒルズエリア」と「麻布台ヒルズ」を最高の形で誕生させ、軌道に乗せることができれば、森ビルの戦略エリアの国際新都心としてのポテンシャルが誰の目にもはっきりと見えてくる。周辺の再開発も加速し、国際新都心に相応しい企業や施設や店舗も増加し、エリア全体のレベルやステイタスが上がるだろう。そのためにも、まず、街を構成する各施設が最高のパフォーマンスを発揮したうえで、多岐にわたる施設や機能、多彩なパートナーをしっかりとつないで「街」としてのパフォーマンスを最大化する。さらに、様々なヒルズをビジネスでつなぎ、緑でつなぎ、文化でつなぎ、インフラやDXでもつなぐ。そうすることで、森ビルの戦略エリア一帯が世界を惹きつける東京の磁力となるはずだ。我々が描く国際新都心の形成シナリオは、東京の都市戦略とも重なり、日本の成長戦略にもつながっている。我々が背負う使命や社会的責任はとてつもなく大きいということを自覚しなければならない。

これからも、森ビルらしく、やるべきことを着実にやり遂げることができれば、自力で未来を切り拓くことができる。大切なのは「どんな未来が来るのか」をただ想像するのではなく、「どんな未来を切り拓きたいのか」を自分の頭で考えること。そして、「未来は、自分たちの手で創る!」という気概と覚悟を持つことだ。今年は、これまでに経験したことのないような苦難やプレッシャーに直面すると思う。そんなときこそ、森ビルがなぜこんなに苦労してまで都市づくりを続けてきたのか、そして、2つの新たな街を世に送り出すことの社会的意義を思い出して踏ん張ってほしい。新たな街の誕生を笑顔で迎えよう。