HILLSCAST J-WAVE連動 森ビルがお届けするインフォメーション

07月のゲスト

クラブキング代表
桑原茂一さん

2008年07月04日

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音楽で、言葉で、笑いで、哲学する(第1回)

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ラジオ「スネークマンショー」で風刺の効いた笑いを、クラブ「ピテカントロプス・エレクトス」で原宿にサブカルチャーを、フリーペーパー 『Dictionary』でメディアの可能性を、新しい喜びと驚きを生み出し続ける桑原さん。そんな彼が思う、今、私たちが考えるべきこと。

 

第1回 20周年を迎えデジタル化された『Dictionary』

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    Dictionary NO.122表紙

僕が編集長を務めるフリーペーパー『Dictionary』が20周年を迎えました。その過去の号がデジタル化された『Dictionary Library』、これは僕がいつ死んでもいいようにと思ってやっているものです。
何かすごいことがある訳ではないのですが、こういうプロセスを経て人間はこうなってしまうんだよという解剖図みたいなものです。みんなこうやって大きくなったという。よく偉人はいろいろ言うじゃないですか。けれども、目の前に20年分あるとどうしようもないですよね。ごまかしがきかないというか、『Dictionary』では、20年分全部ありますから。
今は、点検の時代でしょう。いきなり大きな話をするようですけれど、今の僕らは大事な時にいると思います。
僕ら人類が、これから先どっちにどう向かうかは、歴史を勉強しないとだめじゃないですか。だけど、僕らは科学者でもない。そう考えると、こんなふうに生きてしまったという恥ずかしい歴史を『Dictionary』を通して見ていただいたらいいかなという気持ちなんです。もちろん出て下さった方は、皆さん立派な方なので、ただそれを運営してきた僕らというのは、本当に申しわけないという感じですよね。

『Dictionary』はウィキアというエンジンで走っていて、1つの生命体みたいなものです。一度でも登場した方は、ここで発言する権利があります。「写真、10年前に撮ったんだけれどさ、最近も撮っているんだよ」という人が写真を出してくれれば、みんなが文章を書いたり色々なことをやってくれたりします。音楽はもちろん、もうすぐ動画も流れるようになるはずです。そうすると、何かものすごくだれもアンタッチャブルな何かが、変なものがそこからうまれるかもしれない。
それが一番自分が望んでいることですかね。

『ローリング・ストーン・ジャパン』の影響を受けて

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    Dictionary歴代の表紙アートワークから、
    名作を選りすぐってTシャツとして復刻。
    NO.2の表紙『Apartheid NO!』

『Dictionary』はもともとは、「スネークマンショー」をやったり、プラスチックスの連中たちと一緒に、色々なことをやっていた時に、本当に音楽が好きだったことと、『ローリング・ストーン・ジャパン』というカウンターカルチャー誌の影響を受けたことが始まりでした。この雑誌は、アメリカの反戦雑誌というか、ベトナム戦争の時代に生まれた雑誌の日本版で、「戦争に行きたくない」「なぜ人を殺しに行かなければいけないんだ」という人たちが大きなパワーとなった時代に、その翻訳版を日本で出そうというのが、そもそものスタートなんです。
単純に音楽が大好きでピースと言っていたのが、いきなり色々考えなければならなくなり、一生懸命やっていたのですが、自分が体験しないと分かりません。それは、ミュージシャンのように、会って初めて分かるということと同じで、クラブカルチャーのいいところは、そこだと思うのです。いろいろなジャンルの人間たちが、実際に顔をフェースツーフェースで合わせて、ああだ、こうだ言っているうちに、今まで見たこともないものが生まれる、そういう場をつくりたかったんです。だから、管理人の立場で、かなり辛抱しましたね。「俺はこういうことをやるぞ、編集長はこういうことをやりたいんだ」とかいうのはあまりなくて、僕らが「わあ、この人すてきだな」「こいつの音楽、格好いいな」とか、「これは何か訳わからないこと考えているけれど、こいつ、面白いぞ」とかという人たちに、できるだけ集まってもらって、「他では、言いたいこと言えないだろうけれど、ここは何言ってもいいから」という場ですね。

本当の意味での自由のない現代

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    クラブキング ロゴマーク

今は、すごくみんなが自由に生きているように見えるけれども、実際は、本当の意味での自由はないという状況です。楽しい奴隷暮らしとも言えるのかもしれませんが、みんながそうなので、気づかない振りをしようということなのかもしれません。でも、僕らはずっと見てきて、やはり「ひどい時代になったもんだな」と思うのです。だから、『Dictionary』は、「変な生命体になってくれればいいな」とか、「言いたいことを言いたいやつが、ここに来て叫んでくれたらいいな」と思います。
本当のことを言うと、『Dictionary』は、誰かがそのスイッチを切ってしまったら、全部一瞬にして飛んでしまうという虚像かもしれないんですけれどね。一時の夢で終わるかもしれないけれど、でもまあ、頑張ってみようと思うのです。その代わりに、みんなで鳩を飼うとか、いざとなったら伝書鳩を飛ばすとか、伝言ゲームをするとかでもいいのかもしれません。

選曲家/プロデューサー/株式会社クラブキング代表。
1973年より米国『ローリングストーン』日本版を創刊号から運営、'77年『スネークマンショー』をプロデュースしYMOと共演、同年『コムデギャルソン』のファッションショー選曲を開始する。
'82年原宿に日本で初のクラブ『ピテカントロプス』をオープン、'89年フリーペーパー『dictionary』を創刊、'96年東京SHIBUYA FMにて「club radio dictionary」を開始する。
'01年の911を機に発行された坂本龍一氏とsuspeaceが監修する『非戦』に参加したのをきっかけに、独自の世界観をコメディという切り口で表現する「コメディクラブキング(CCKing)」を展開。
現在、フリーペーパー/ウエブ/ポッドキャスト/コミュニティラジオ/TV/携帯サイト/映像表現/コメディライブ、またそれらを統括するWEB「メディアクラブキング」をプロデュースし、LOVE&PEACEに生きるオルタナティブなメディアを目指し活動を続けている。

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