森ビル株式会社

建物を集約して広い空間生む

阪神淡路大震災では、古い木造住宅が密集した地域で家屋の倒壊、火災の延焼などにより甚大な被害が発生しました。大型の直下地震の発生が予想されている東京など、都市における木造住宅密集地域の整備は喫緊の課題となっています。細分化した土地を統合し、分散していた建物を集約して超高層化することで、地上に広いオープンスペースを生み出すことができます。

再開発前の六本木6丁目地区
再開発前の六本木6丁目地区
六本木ヒルズ
六本木ヒルズ
再開発前の地区内路地
再開発前の地区内路地
再開発により地区幹線道路を整備(六本木けやき坂通り)
再開発により地区幹線道路を整備(六本木けやき坂通り)

ハードからソフトまで

建物には、制振壁、制振ダンパーなど、現在考えうる最高レベルの耐震性能を持たせ、万が一のために自家発電システムなども導入します。また、災害用井戸や備蓄倉庫などの整備とともに、街全体での定期的な防災訓練の実施により、地域の防災拠点として機能します。
建物の耐震化と同時に、広い公園や道路を整備し、災害に強く、かつ環境にも優れた都市基盤を整備する。これが森ビルが提案する都市づくりの基本的な考え方です。

震災に関する取り組み

「安全・安心」は、地震や台風などの災害多発国である日本の最重要かつ喫緊なテーマです。
首都・東京を襲う直下型地震の発生確率も高まっています。私たちの命と財産を守るうえでも、世界から人、モノ、金、知恵、情報を集めるうえでも「災害に強い都市への再生」は欠かせません。
都市防災に対する発想も、「逃げ出す街」から「逃げ込める街」へ転換すべきです。都市のグランドデザインを描き、それにそって順次再開発などを進め、老朽化した都市基盤や細街路を整理しながら、世界トップクラスの耐震技術を使って創り替えていけば、災害時の防災拠点ともなります。私たちは「災害時に逃げ込める街」への転換を提言し、実行しています。

帰宅困難者受入に関して

六本木ヒルズで5,000名、虎ノ門ヒルズで3,600名、その他主要施設でも帰宅困難者を受入れることで港区などと協定書を締結し、受入場所の確保、食料・資機材などの備蓄、情報提供などの対応を行っています。

東日本大震災における森ビルグループの支援活動
東日本大震災発生後、六本木ヒルズ、表参道ヒルズをはじめとする商業施設では、チャリティイベントの開催や復興支援活動に対するスペース提供、被災地への支援物資の提供、義援金の受付など、様々な支援活動を行ってまいりました。募金活動に際し、皆様からあたたかいご協力をいただきありがとうございました。

これまでの安全・安心への取り組み

森ビルは、2004年3月26日に六本木ヒルズ森タワーの回転扉で起きた悲しい事故から、事故再発防止、そして森ビルが管理・運営する施設全般の安全強化に向け、ハード、ソフトの両面における安全・安心を全社一丸となり進めております。

安全会議事務局が主催する安全教育研修の一環として、2006年より回転扉(事故機)の動態保存視察を実施しています。回転扉の動態保存は、当社および回転扉の製造元である三和タジマ株式会社が、畑村洋太郎氏(工学院大学教授)の要請に基づき、今後も事故を決して風化させないという思いより実施したものです。事故以降に入社した社員(新入社員、中途入社社員)だけでなく、事故以前に入社した社員も対象として研修を継続しています。
研修は、回転扉の動態保存先である三和タジマ埼玉工場へ向かうバスツアー形式としており、研修の主な内容は以下の通りです。

  • 往路(車中)
    研修の主旨説明、回転扉事故の概要説明、安全関連ビデオ視聴
  • 三和タジマ埼玉工場
    動態保存機の視察、三和タジマ担当者からの説明、質疑
  • 復路(車中)
    意見交換

復路(約2時間)では、参加者各々が、自身の所属していた部門や立場で、また家族を持つ立場としてなど、当時の状況を想い返しながら、活発な意見交換がなされています。
お年寄りからお子様まで多くのお客様をお迎えする施設の運営者として、ハード的な対策はもちろん、お客様の視点に立って、危険に対する感度や、ヒューマンセンサーとしての役割など、ハード、ソフトの両面から継続的な取り組みを行うことの重要性とともに、各自、安全に対する意識の再確認を行っています。