森ビル株式会社

コンセプト

コンセプト

アークヒルズの開発コンセプトは、知的生産性を高めるという時代背景と、国際化・情報化の進展の中、東京・ロンドン・ニューヨークという24時間ビジネス体制に応える新しい、21世紀のビジネス街づくりです。
また、当地区は、赤坂・六本木・青山・麻布と連なる東京の先端的商業・文化・居住ゾーンにも接しており、ビジネスとこのような地域性とを融合させた複合的・多彩な都心活動の場とし当地域を位置づけ、行政の指導のもと、様々な用途の複合化が検討されました。
物理的なスタディーとマーケットリサーチが積み重ねられ、実際に運営する事業者の出現とともに用途の組み合わせが決定され、その結果、大規模超高層オフィス、都心型住宅、本格的シティホテル、2,000席のコンサートホール、テレビスタジオという、ビジネス・生活・文化・情報・レジャーの融合した「複合都市」というコンセプトにまとまりました。

都心らしい高度利用を実現しながら快適な心地良い環境をつくることが次の大きなテーマでした。それぞれの施設の独自の環境を保ちつつ、それぞれが共存できる包容力のある環境づくりが求められ、そのために、高低差のある地形・緑・水という自然環境づくりを大いに取り入れることになりました。
また、技術革新の時代でもあります。快適な環境づくりのための先端技術は最大限取り入れられ、特に目覚ましい進歩を遂げつつあった情報技術についても検討を重ね、本格的情報化時代に備えるため、情報ストラクチャーを装備することになり、いわゆるインテリジェントビル、インテリジェントシティを目指しました。
国際化・情報化時代に対応したビジネス都市・24時間型複合都市・快適環境都市・インテリジェントシティいわば「全環境都市」がアークヒルズの基本コンセプトです。

施設計画

高度利用実現のため、5.6haを1つの街区としてまとめ、開発前の折れ曲がった狭小な道路(総面積2,000m²)を幅員12mおよび8mの外周路(同7,000m²)として整備しました。旧来の地区内の区道はすべて廃止し、新たな外周道路を新設区道としています。なお、この外周路は、今や名物とされるほどの桜並木に成長し、開花の時期に多くの人々を楽しませています。

高速道路の走っている幅員40mの放射一号線沿いには、超高層でかつボリュームのある事務所とホテルを並べ、日照条件の良い南側の丘の上には、6階、21階、25階の住宅、計3棟を配置しています。住宅棟と事務所棟の間には広場をつくり、その広場に面する部分、および地下にはテレビスタジオを置きました。また、住宅棟の北側には低層のコンサートホールを広場に面する形で配置し、北側隣接の既存住宅への環境に配慮しています。 幹線沿いの商業系のゾーンは容積を高く積み(事務所・ホテル)、南側の文化・住宅ゾーンは容積をおさえるという「団地の総合的設計の手法」によるいわゆる「容積の移動」を行っています。

また当地区は丘陵地にあり、地域内に20m位の高低差がありますが、その差を利用して段々畑状の広場をつくっています。この立体的広場や、ペデストリアンデッキの整備による歩行者路構成によって55%にも達する公開空地率を確保することが可能となりました。
面的開発では、街区全体の統一性と各建物の個性とのバランスが重要となりますが、街としての骨格、アークヒルズという街のアイデンティティーを保ちながら、各建物はその個性に応じた個性を発揮できるようにと考えました。

時代の変遷と共に、人々のニーズや生活、経済活動は変化します。それに伴い、都市にも変貌が要請されます。街が輝きつづけるために、それらを敏感にとらえ、リニューアルしていくことは重要な行為です。街を構成するハードである建築物の、その枠組みを変えることは困難なことでありますが、街の機能の多様化を求めてソフトを変化させることは困難なことではありません。アークヒルズでは完成後も、多くのリニューアルを行っています。

1996年、多様化したオフィスワーカーへの求めに応じ、最新機材を完備したカンファレンス施設「アカデミーヒルズ」を開設し、その後六本木ヒルズへ継承しています。周辺居住者も対象にした「アークガーデニングクラブ」の発足。1998年、食文化の変化に対応し、共用施設も含めた飲食店舗の大規模リニューアル。住環境の整備として「アークヒルズ・スパ」のリニューアル。画一的であった緑化をより豊かで身近なものへというコンセプトのもと、ガーデンなどの充実。そしてオフィスワーカーの執務環境向上を目指し、OAフロアの敷設、共用部デザインの刷新、セキュリティの強化など全面的なリニューアルを行いました。
都市リニューアルの先導的役割を果たし、時と共に成熟を深めるアークヒルズは、今なお進化し続け、止まることを知りません。

建築・デザインコンセプト

アークヒルズは広い街区に、複数の用途の異なった建物を配置しています。建物はその用途によって基本形状が異なります。超高層にしてかつ平面ボリュームも大きくて良いもの、高くすることはできるが、細くなくてはならないもの、低層部で平面的広がりが必要なものなどがあり、それらをバランス良く配置すれば、高密度であっても魅力ある景観と快適な環境を創ることができます。
国際化・情報化時代への対応を目指し、完成当時、日本のインテリジェントビルの先駆けでもあったアーク森ビルには、進出を始めたばかりの外資系金融機関が多く入居し、東京を代表する国際金融センターの顔となりました。
また竣工当初から屋上を含む施設内の緑化に積極的に取り組み、シンボルでもある桜並木や、7つのガーデン「アークガーデン」が、都市の生態系を育み続け、都心に季節感のある風景をもたらしています。

建築・デザインコンセプト
建築・デザインコンセプト

開発経緯

アークヒルズは、森ビルの大規模複合再開発プロジェクトの先鞭を切った事業です。遡ること1967年、森ビルがこの地に最初の土地を取得し、行政による再開発適地指定を受けてから、じつに19年の時間を費やしています。森ビルの街づくりへの理念が、この膨大な時間とエネルギーを支えたと言っても過言ではありません。

  • 開発経緯年表
  • 1971年:東京都「再開発適地調査」を行い適地指定
  • 1973年:港区「再開発基本計画」発表
  • 1978年:赤坂六本木地区再開発準備組合設立
  • 1979年:都市計画決定告示
  • 1982年:赤坂六本木地区市街地再開発組合設立認可
  • 1983年:権利変換計画認可
  • 1983年:着工
  • 1986年:竣工