半世紀、東京で伝統を守り続けて
料理は“思いやりをもってつくる料理”
精進料理『醍醐』三代目、野村大輔です。
このたび、去年に引き続きましてミシュランガイド東京で2つ星という評価をいただきました。普段私は、調理場で料理をしていますが毎日毎日地道な作業の繰り返しなんですよ。時折、つくっていても「これでいいのかな」とか、料理の味や盛りつけ、量にしても不安になってしまうときがあります。そういうときに、このような第三者の方からの高い評価をいただくということは、「普段やっていることが間違いじゃないのかな」「方向は合っているのかな」とか再確認ができますし、自信にもつながります。あと、スタッフの励みにもなりますね。
『醍醐』は1950年に愛宕の地で創業し、現在は愛宕グリーンヒルズの一部に店舗を構えています。当時から精進料理で営業しています。
精進料理は、あまりなじみ深い料理ではないと思いますが、歴史的に見ると、現在の懐石料理の原点にもなっている料理なのです。精進料理は、仏教とともに発展してきた料理です。中国には菜食主義が昔からあり、そういった中で身近でとれる材料で、しかも毎日同じ食材でつくるので、いろいろなバリエーションをつくろうと何とか工夫をしました。それが日本に伝わって、今の精進料理の原型ができあがったということです。
『醍醐』のお勧めの料理には、例えば、春には若竹煮を料理します。普通、若竹煮は竹の子とワカメを一緒に炊き合わせにしますが、『醍醐』でお出ししている若竹煮は、竹の子に衣をつけて揚げ、ワカメとあえて、ちょっとゴマのあんを添えて食べていただくのですけれど、よくお客様にお褒めいただく料理の1つです。懐石を食べ慣れているお客様だと、「ちょっと目先の変わった若竹煮でおいしいね」と仰ってくださいます。竹の子とワカメで木の芽も乗って春も感じられるし、こちらの料理はお勧めですね。
これは僕の解釈ですが、料理は“思いやりをもってつくる料理”“感謝して食べる料理”だと思っています。今は飽食の時代ですから、食べ物に対する感謝の気持ちが、比較的薄らいでいると思います。そういう中で、私たちの精進料理によって、「料理というのは、こういう気持ちで食べるんだ」「こういう気持ちでつくるんだ」と、来て召し上がっていただいた方に、ちょっとでも感じていただければいいなと思っています。
醍醐三代目。醍醐は、1950年創業の精進料理店。2007年、2008年と2年連続ミシュランで2つ星を獲得した。創業より愛宕に店を構え、2002年に愛宕フォレストタワー2階に移転。全席個室の店内では、都会の喧騒を忘れ庭園を眺めながらゆっくりと食事ができる。





