都市と自然

緑化の変遷

(1)1950年代〜1970年代  緑化への取り組み開始

高度成長期の都市開発の中で、最も重視されてきたのはオフィスビルの床面積を十分に確保することでした。この時期、日本経済の発展や企業の成長に伴い、都心の優良なオフィスビルは不足気味でした。オフィスビルの建設が進む一方で住宅街はオフィス街から遠く、都心で働くビジネスマンのほとんどが、まだ自然の残る郊外の住まいから通勤していました。都心には次第に人がすまなくなり、ビジネス街はコンクリートの建物が密集し、緑がほとんどない地域となってしまいました。1959年設立の当社では、1950年代から1970年代にかけて、オフィス単独用途の中小ビルを開発していきます。その中で「緑と光の豊かな街づくり」をスローガンに掲げ、建物の周囲に樹木や草花を植え始めますが、敷地も小さく緑化できる空間はまだまだ限られたものでした。

(2)1980年代〜2000年代  量だけでなく質も高い都市緑化を

①1986年 アークヒルズ 『大規模な屋上庭園』

1980年代になると、全国各地で再開発の動きが活発化します。西新宿で再開発が盛んになったのもこの頃です。アークヒルズはこの時期行われた最大規模の民間による再開発であり、緑化の規模も最大級でした。また、緑化空間の大部分が建物の屋上であるということも珍しく、当時としては大変新しい試みでした。
当社ではアークヒルズの開発以降、本格的に大規模な開発を手がけるようになり、それに合わせて整備する緑地も大規模化していきます。高層ビルを建てて、その足元に広い緑の空間をつくるという当社の手法がアークヒルズの竣工によって確立したのです。
またアークヒルズはその後も適切な保守が行われて樹木は大きく成長し、今では緑の散策路として多くの人に親しまれる空間になりました。
(詳細はアークヒルズWEBサイトをご覧ください)

②2001年 愛宕グリーンヒルズ 『斜面緑地の保存』

愛宕グリーンヒルズは、隣接する江戸時代からの古刹愛宕山の豊かな自然と、オフィス棟・住宅棟の2つの高層タワーと、3つの寺院、NHK放送文化博物館などの建築物が融合するように計画された再開発プロジェクトです。
当計画では、地形を変形しないように土工事を最小限に抑え、高低差のある地形を生かした計画としました。愛宕山へ続く斜面緑地を保存し、ここを植生保存ゾーンと位置づけて、古くからの動植物を保全しています。また、敷地内には自然と一体感ある緑道を巡らして通行者が斜面緑地を楽しめるようにするとともに、通行者の緑地への侵入を防ぐことで動植物への影響を最小限に抑えるようにしています。

③2003年 六本木ヒルズ 『新しい技術への挑戦』

2003年に竣工した六本木ヒルズの緑地は、これまでに培われてきた当社の緑化技術の集大成であると共に、新しい技術や考え方への挑戦がいたるところに盛り込まれています。広大な敷地には、エリアごとに特色ある緑地作りがなされました。
例えば毛利庭園では土地の歴史や記憶を伝えるために、敷地内にあった植栽や江戸時代の遺構を保存し、新しい緑地空間として再整備しています。また、映画館があるけやき坂コンプレックスの屋上には水田や野菜畑、ビオトープが整備されており、地域の皆さまと一緒に田植えや稲刈りを楽しんでいます。
当社では開かれるとともに地域に根付く緑地空間づくりを目指しています。さくら坂に隣接するさくら坂公園には、古くから敷地内にあり長く親しまれてきた樹木を移植し、子供のための遊具も備えました。今では、元気の良い地域の子供たちが駆け回るにぎやかな公園になりました。
(詳細は六本木ヒルズWEBサイトをご覧下さい)

(3)2010年〜 社会の要請に応える緑づくりを

①2012年 アークヒルズ 仙石山森タワー 『生物多様性の保全と回復』

地域在来種を中心に植樹し、生きものにすみかや採餌場を提供する枯れ木を設置し、表土を再使用するなどして、生物多様性の保全と回復に向けた緑地をつくりました。その結果、当緑地はJHEP認証※において日本初となる最高ランク(AAA)を取得しました。竣工後も生態系に配慮した維持管理を行い、説明看板の設置やワークショップの開催により、地域の方々が自然を理解し、生きものと触れ合える機会を提供しています。
(詳細はアークヒルズWEBサイトをご覧ください)

②2014年 虎ノ門ヒルズ『立体道路制度による緑地の創造』

皇居から日比谷公園、愛宕山、芝公園へとつづく「南北の緑の軸」と、新虎通り沿いに形成される「東西の緑の軸」の交点に虎ノ門ヒルズは位置しています。立体道路制度の活用により人工地盤上に6,000㎡の緑地を新たにつくり、生物多様性にも配慮した植栽計画が評価されJHEP認証※の最高ランクを取得しました。隣接街区へも緑地を繋げていくことにって、一体的な緑の拠点として機能していきます。

※ JHEP( Japan Habitat Evaluation and Certification Progra m )認証
生物多様性の保全や回復に資する取り組みを定量的に評価、認証する制度。開発・運営:(公財)日本生態系協会

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